自担には裏があるようで 2 ___Yuri.C__ (ページ19)

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僕の好きな人 side 知念ページ19

side__chinen

僕の腕の中で涙を流す僕の好きな人。

なんで泣いてるのかは大体わかる。

でもさ、こんなに言ったのに違う人と勘違いするって酷くない？

どう考えてもAの事だよね。

あんまりにも鈍感なAに

僕もちょっと泣きたくなってきたよ。

ふと、正面を向くと

メンバーがめちゃくちゃ僕達を見ていた。

大貴はオロオロ、伊野ちゃんは真剣、

涼介はお母さん、それ以外はニヤニヤ。

いや、気を使ってどっか行くとかしてくれないのね。

まぁいいんだけど……

今日は毒舌ナシで、Aに全部伝えるつもり。

侑「……A」

だから勘違いされたまんまなのは困るんだよね

名前を呼ぶとAはびくっと肩を揺らして

ゆるゆると僕を見た。

そんな姿も可愛いなぁって思う僕はきっと重症なんだろうな。

侑「あのね、僕の好きな人、わかる？」

そう言うとさっきよりずっと悲しい顔をして

小さく首を横に振る。

きっとこれには

しらないっていうのとききたくないっていうのが

混ざってるんだろうなって

濡れた君の瞳からちょっと考察してみちゃった

ちょっとは自分のことだ、とか思わないのかな

Aは自分の魅力を全然知らないから……

それは僕からするといい事ではあるんだけども、

でも知らなすぎてもかえって危険。

朔咲…ストーカーの時もそうだった

『どうして私なんか』ってそりゃAが可愛いからだし

Aは自分に自信を持つべきだと思う

だってこんなに綺麗で可愛くて…

侑「僕の好きな人は……」

『言わないで』

震える声で僕を遮った君。

それはちょっとでも刺激すると壊れてしまいそうだった。

不安げに揺れる瞳が物語っている。

でも、僕は止めるつもりないよ。

だって言うって決めたもん

ずっとこのままなんて嫌だもん

侑「……A、お願い。聞いて？」

いやだ、とでも言うように力なく頭を左右に振る。

侑「聞いてってば、これだけでいいから」

小さくやだと呟いたのが聞こえた。

目をぎゅっと瞑って

耳を塞ごうとするAの手を掴んで阻止する。

『……っ、やだ、はなして…』

侑「聞いて！……ほんとに、これだけ」

そう言うとAはピタッと止まった。

聞いてくれるってことなのかな

侑「僕の好きな人は」

Aの体が少し強ばった気がした。

.

侑「Aだよ」