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『ぐっ……あぁ゛！』
私はお腹からナイフを抜き、近付いてきていた彼女の顔めがけてナイフを振った。
ナイフは彼女の顔スレスレを通り、振りきられたナイフはからんっと音をたてながら転がっていった。
お腹から血がダラダラ流れ出す。私は個性を使ってお腹の傷を治す。人の傷より自分の傷を治す方が体力を使う。だから傷を治し終わった頃には息は荒く、脚は生まれたての子鹿のように震えていた。
傷は治ったけど体力が。これじゃ意味ないじゃん。個性は計画性を持って使わないと駄目だな……。
「……そんな体であとなにができる」
呆れたような顔でこっちを見る彼女。
『だい……じょうぶ！』
どこから溢れてるか分からない自信をエネルギーにして走り出す。
いつの間にか近くに転がっていた私の刀を握りしめて、彼女めがけて走る。
『グｯ……？！』
外傷は個性でカバーできたが、内臓の傷がカバーできてなかったみたい。
強烈な痛みが走り、血を吐き、その場に崩れ込んでしまう。
そんな私を見て彼女は静かにこちらに向かってくる。
来るな、来るな、こっちに来るなと彼女を睨んでも彼女は止まらない。
もう、終わりなの…？
『ぐっ……ァ゛……！！くるな゛！！！』
立ち向かえ、戦え、そう自分に言い聞かせても体は動かない。
出るのは手でも足でもなく声だけ。なんて無力なんだ。
いやだ、終わりたくない、荼毘くんにバカにされちゃう。
『だびく……』
いやだ、死にたくない、もう一度、もう一度でいいから荼毘くんに会いたい。
そんな思いから彼の名前を呟く。
私の口から溢れた彼の名前が空に登って消える頃、彼女が蒼い炎に包まれて見えなくなった
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素因数分解(プロフ) - やくまるさん» やくまるさんコメント、そして応援ありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年8月12日 0時) (
レス) id: 98917b6f0c (このIDを非表示/違反報告)
やくまる(プロフ) - この作品大好きです！更新頑張って下さい、応援してます‼︎ (2022年8月11日 14時) (レス) @page1 id: 3d969762ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：素因数分解 | 作成日時：2022年8月7日 20時
