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『どうするもこうするもないよ、そんな未来がイメージできない』
どうしても素直になれなくてどこかひねくれた様な返事をしてしまう。
可愛くないなと自分でも思う。榊の声は綺麗に聞こえるのに、自分の声は汚く聞こえる。
物心ついた時からそうだ。私は自己肯定感が低くて明るく振る舞ってるけど本当は根暗な奴。
それに対して榊は完璧でいつも明るい。お兄ちゃんの受験の時には家庭教師の代わりに理科を教えてて、それのお陰で彼は受験に成功した。
私は小さい時からずっとお兄ちゃんと距離を感じていた。でも、それは榊に対しても同様だったのかもしれない。
私と榊は別世界の人間だと思っていた。でも最近仲良くなって、お話して、好きになって、一緒に出かけれるぐらいになって。
やっと同じ世界の人間になって、だけどやっぱり心のどこかでは別世界の人間だと思ってて。
だから尚更榊と両思いになるなんて思えないんだ。
何故か悲しくなってきて、涙が出てきた。
もうこのまま傘の外に出てしまいたい、そうすれば頬を濡らす水が雨か涙かなんて分からない。
榊はそんな私の顔に手を添えた。
冷たい頬に暖かい手が触れた。私は顔を上げた。
『ｯ……』
榊の眼差しは優しくて甘かった。
いつもそうだ。その目で私を見てくれた。
絶対そうじゃないのに、私の勘違いなのに、どうしても自分が榊の"トクベツ"だと思ってしまう。心の汚れが溶けていく。
なんでそんなに優しく接してくれるの？
何回もそう聞こうとした、だけど聞けなかった。
喉になにかがつっかえて出てこなかったから。
まさかそんな都合のいいことが起きるはずがない。そう思い込ませていたから。
思い込んでずっと目を背けていたのかもしれない。
榊は私の頬を親指でスリ、と撫でる。
「A、好きだよ」
好き＿＿＿？
その言葉の意味を少し遅れて理解して、声をあげようとすると柔らかく口を塞がれる。
きす、初めてだ。
触れるだけのやさしくて控えめなキス、榊に触れていたのはほんの少しだけなのに頭が、心が溶かされて目の前の彼の事で頭がいっぱいになった
榊は離れてまたあの優しい目で私を見た。
「ね、Aは？」
ああ、本当に、綺麗だ。
少しいたずらっぽく笑う榊に分かってるくせにと、微笑みを返す。
私はちゃんと榊の目を見て口を開いた。
『私は―――――』
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素因数分解(プロフ) - れこさん» れこさんコメントありがとうございます！好きだと言って貰えてとても嬉しいです🫶🏻頑張ります💪 (5月2日 20時) (
レス) id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
れこ(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉本当に素因数分解さんのお話が好きです😌次作でも頑張って下さい! (5月2日 19時) (レス) @page42 id: fc4b70d152 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - なゆさん» なゆさんコメントありがとうございます！何回と見返して貰えるの嬉しいです🫶🏻 (4月29日 18時) (レス) id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - after episodeまっっっじで良かったですいや全部大好きなんですけど、見返してまた何回も楽しめるの最高ですね？？？？ありがとうございます、、ありがとうございます、、、、、 (4月29日 14時) (レス) id: aa25249e34 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - りーたんさん» りーたんさん嬉しいお言葉ありがとうございます🥳✨ (4月29日 14時) (レス) @page37 id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：素因数分解 | 作成日時：2024年3月22日 14時
