・ ページ21
.
思っていたより優しく後ろに倒れた。
どうやら頭の下に榊の手が滑り込んだみたいだ、少し暖かい。
ギュッと閉じられていた目をゆっくり開けると、思っていたより近くに榊の顔があった。
榊は目を少し見開き、珍しく顔が赤かった。
それより、この体制……なんというか……
(押し倒されてるみたい)
ｯだァー！！！昨日のお風呂の妄想といいちょっと酷いぞ私。これじゃまるで変態みたいじゃないか。
すると昨日の榊と入ったお風呂(全て妄想である)のシーンが頭に流れてきて、頬が熱を持ったのが感じられた。
ううう……急に恥ずかしくなってきた。
私は顔を手で隠しながら榊の方を見る。
『榊……？』
さっき見た表情のまま動かない榊を見て声をかけた。
榊は目を逸らし、ため息をひとつ吐いた。
するとなにを考えているのか、そのまま私の方に倒れ込んできて私を抱きしめた。
『え、ちょ、さかき』
急なことで頭の処理が追いつかない。でもこれは昨日のお風呂みたいに妄想じゃない、現実だ。また顔が熱くなる
そのことを榊から感じる体温と心臓の音が示していた。
とりあえず私も榊の背中に手を回すと、より一層彼の力が強くなった。
「あ゛ー゛こんなはずじゃなかったのになぁ」
『榊、？』
「んーん、なんでもねぇよ。だけど、もう少しだけ、こうしたい」
いつもあんなに大きい声で騒ぐ癖に、今日はほっとけば消えちゃいそうな声で言うから黙って受け入れるしかなかった。
どうしちゃったんだろう、そんなことを聞くのは場違いな気がした。
でも、榊だって甘えたい時期もあるんだろうな、と自己完結させた。
何分そうしていたか分からない、5分だろうか、もしかしたら10分経ってたかもしれない。
榊が優しく私のことを離すと、手を差し伸べて起き上がらせてくれた。
そしてまた少し顔を赤くして
「あー、なんだその、急に抱きついて悪かった。嫌じゃなかったか？」
と少し首を傾げてそう聞いた。
だから私は少し笑って
『嫌じゃないよ』
と返した。すると榊は嬉しそうに笑った。
「そっか、じゃあ俺仕事行ってくるわ」
機嫌良さそうに部屋の外の出ていく。
…榊ってなんかよくわかんないヤツ。ご飯食べたら昨日の本の続きでも読もうかな。
本どこやったっけ、探していると扉の方から視線を感じる。
視線の方を見ると、扉が少し開き、そこから榊が顔の覗かせていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 721人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
素因数分解(プロフ) - れこさん» れこさんコメントありがとうございます！好きだと言って貰えてとても嬉しいです🫶🏻頑張ります💪 (5月2日 20時) (
レス) id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
れこ(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉本当に素因数分解さんのお話が好きです😌次作でも頑張って下さい! (5月2日 19時) (レス) @page42 id: fc4b70d152 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - なゆさん» なゆさんコメントありがとうございます！何回と見返して貰えるの嬉しいです🫶🏻 (4月29日 18時) (レス) id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - after episodeまっっっじで良かったですいや全部大好きなんですけど、見返してまた何回も楽しめるの最高ですね？？？？ありがとうございます、、ありがとうございます、、、、、 (4月29日 14時) (レス) id: aa25249e34 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - りーたんさん» りーたんさん嬉しいお言葉ありがとうございます🥳✨ (4月29日 14時) (レス) @page37 id: fdb1d0b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：素因数分解 | 作成日時：2024年3月22日 14時
