5＋1

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中3、夏。
久々の東京での仕事を終えた俺は、現場の最寄りから1駅歩いて、事務所の人間がいないのを確認してガクっと倒れるようにベンチに座った。


......キッツい。想像以上に。



俺だけが突き放されていく。

最近、ストレスでご飯の味が良く分からない。
感情なんて、とっくに抜け落ちている。


ただただ必死になるしかない。
そんな毎日...........。








......ふと、強烈な制汗剤の香りが鼻を刺激する。

「.....えっ...？」


気づいたら俺は、見知らぬ少年におぶられていた。


「あ.....、起きた？そろそろ、俺の家着くから。」


.....そうだ..........。電車を逃して、家に帰れなくなって。やたらと親切な少年が「じゃあ、俺の家くる？」と言ってくれたんだ。

今度は降車駅で爆睡かましておぶられてるってことか.......

俺が言うのもなんだが、とんでもないお人好しだな。


「なんか、気絶したように眠ってて起こすの悪いな〜と思ってさ。そういえば君、名前なんて言うの？」


「松村北斗、です....、、」



「松村くんね。俺はこーち。みんなあだ名みたいにそう呼ぶから」


少し掠れた明るい声が、耳心地良い。


こーちくんの家に着くと、何故かこーちくんに「母さん、ワンコ拾ってきた〜」と謎の紹介をされた。呑気な彼に対してお母さんは「またあんたは寝坊助して！」と怒っている。

そして俺にはいらっしゃい、と優しく微笑んでくれた。



その後、俺はこーちくんの家の電話を借りて親と連絡を取ると、それは酷く怒られた。
その間も、こーちくんとお母さんは何やら言い合っている。

「足怪我して〜、マネさんに手当してもらってたらみんな帰っちゃったの！だから起こしてくれる人いなかったんだって！」



……………そうだったのか。

そういえば、さっき駅にいた集団が、「あいつら今頃2人きりだぞ！！」とか楽しそうに話してたな。


彼の第一印象。
足を怪我していても爆睡している俺を優先して背負う、、見知らぬ電車を逃した男を家に泊める……超お人好し。


そして鈍感。

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