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好きな理由・冨岡義勇 ページ11

私は変わり者だと言われた。


「あんな男のどこがいいの」


親友の花はそう言って私の目線の先を見る。


「わからない」


「確かに、助けてくれた時はかっこよさげだったけどね?愛想悪いわ…」


前にあの人がこの町に来た時、私たちは鬼に襲われていた所を助けてもらった。

そしてまたこの町にあの人が来た。


「義勇さん…」


「ほら、こっちに来るよ」


「や、やだ。どうしよ!私変じゃない!?」


「いつも通り可愛いよ」


そう言うと花は私の背中を押した。
行ってこいってことね。



「義勇さん…!」


ドキドキしながら話しかけた。


「…お前は」


「Aです…覚えてますか?」


覚えてないかもしれない。
たった一度、会っただけだから。


「ああ」


その短い二文字だけで心臓が高鳴った。


「あ、あの時はありがとうございました!」


勢いよく頭を下げる。


「ああ…お前はこの町の鬼のことを知ってるか?」


顔を上げるとひとつも変わらない表情。
表情筋が機能してないよ…


「知ってます」


ここ数日前から人が行方不明になってる。
きっと鬼の仕業だろう。


「そうか。なら教えてくれ」


情報集めが苦手そうだなあ。









「美味そうな女だ」


どうして?義勇さんが鬼を見つけて追いかけて行ったはずなのに…!


「あいつには俺の分身を追わせたんだ」


私の着物の帯を解いて体をジロジロと見てくる。
気持ち悪い。


「やめ…っ」


「じっくり食ってやろう」


いやだ。いやだ。
誰か、助けて…!


ぎゅっと目を閉じてるとゴロッと鈍い音が聞こえた。


「大丈夫か」


「…っ義勇さん…!」


鬼はいつの間にか死んでいて、あの時と同じように私を助けてくれた。


「…」


手が震えてなにも出来ない私の格好を見た後、ゆっくり着物を着せ直してくれた。


「怖かっただろう。すまなかった」


「義勇さんのせいじゃないです」


首を横にふると優しく私の頭を撫でてくれた。


「A。もう大丈夫だ」


愛想が無くても表情筋が動いてなくても
好きに理由なんていらない。


「義勇さん、ありがとう」





end.

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美桜 - 話好きです。続けて下さい。更新頑張って下さい。 (2019年3月2日 20時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ファルル(プロフ) - 竈門炭治郎ですよ!門が抜けています (2018年8月8日 0時) (レス) id: 75508b9973 (このIDを非表示/違反報告)
たごちゃん(プロフ) - 涙が止まらないです。切なくて。すごく心動かされました。ありがとうございます。 (2018年7月7日 0時) (レス) id: dffad2ad26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:enen♪ | 作成日時:2017年7月20日 17時

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