反英雄102話 ページ8
轟side
パリンｯ
剣城の目元のバイザーが崩れ落ちる
露わになった瞳には生気が宿っていなかった
何時もの青色の瞳は金色に変色し、肌も死人のように白かった
剣「平和や正義なんて物は虚…
ヒーローなんて虚像に過ぎない」
淡々と冷たい声で話すことは今までの剣城とは真逆で
剣「そんなものを夢見るから人は弱くなる
故に私は壊すのみ」
なんで…どうして…！
轟「どうしてそんな風になっちまったんだよ…！
俺は…まだお前に伝えてないことが…！！！」
剣「邪魔する者は粛清する」
無慈悲に告げられた言葉
剣が振り下ろされると思った、しかし待てどもその痛みが襲ってこない
剣「ゴホッ…！」
見れば剣城が地に膝をついて血反吐を吐いてた
轟「どうした！？辛いのか…？！もうあんま無理するな！」
あんなに力を放出したからキャパが近いのだろう
俺が剣城に触れようとした瞬間
轟「ぐｯｯ！！！」
首を掴まれた
俺の足は地面から浮き、どんどん苦しくなっていく
轟「つ、るぎ…やめ、ろ！」
まずい、意識が朦朧とし始めた頃
麗「Aちゃん！！！」
剣城が声の方を向く
微かに手の力が緩んだ
右手からアイツに氷結をしてなんとか振り解く
麗「私だよ！！忘れちゃったの？！」
剣城は反応せずこちらに向かって来る
轟「麗日、その男は…！」
麗「うん！案外弱かった！」
蛙吹の舌で巻かれて気を失っている男を見る
轟「だったら！「でも！」
次の麗日の言葉で俺の淡い期待は砕かれる
麗「この男を倒しても弱体化はするけど…元には戻らないって…」
麗「力を使い果たすまで、暴れ回るって…」
鈍器で殴られたような衝撃だった
それじゃあ…アイツの約束を…！
麗「轟くん？！」
轟「弱体化してんなら今がチャンスだろ！」
剣城の側まで走り出す
それでも！絶対にお前を止めてみせる！
轟「剣城！お前は俺と約束した！
お前は俺に頼ると！」
剣城の動きが鈍くなる
轟「だから俺もお前に約束した！
俺はお前を止めるって！！」
剣「やめろ…やめろ！！」
悲壮な声を上げて頭を抱える
反転したこいつに原点だとか、正義の話は聞かない
本当に聞いてほしいなら、
思いをぶつけろ！！！
轟「俺はお前に幸せになれと言った！！
でも本当は、俺が幸せにしたい！！！」
轟「好きだ！！！！A！！！！」
パリンｯ
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作者名：酸辣湯麺 | 作成日時：2020年4月15日 17時
