私だけの英霊 (ページ22)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:3,030 hit

生きたかったのでページ22

「…………………それは生きるためだから。」

慣れきった徹夜。
書類を片付けてると、フジマルくんがいきなりそう言った。
ぼんやりと天井をみてブツブツ、ブツブツと。自己肯定感を得るように。

「だって僕は生きたかった」

「みんな、何処かで誰かを殺してる」

「俺は手段が直接的だっただけ。」

「僕は生きるためにナイフを突き刺す」

その言葉らに思わずはっと息を呑む。
あぁ、彼は命を奪ったことがある。
それも一度二度なんかじゃなく、何度も
数えたら気が狂う程にきっと。

「俺は…………………生きたかったんだ、よ」

長い沈黙の後、生きたかった。そう言って
何事も無かったように目をスっと閉じた。
あれは潜在意識による無意識下の行動かな……。

「……レオナルド、聞いてたよね？」

「ふむ、これはデカいぞ。」

突拍子もなくそう言うので何がと思わず
聞き返してしまった。
レオナルドは呆れ返るように、闇が。と
三音を、まるで変なこと言った？
なんて聞き返されてるように普遍的に。

「決まってるだろ？
彼の心の闇ってやつだよ。」

その時わかったことは一つ。
「(面倒事が増えるなぁ…………。)」

昨日言われた僕と彼が似てるって言葉が
なんとなくわからなくなってきた。