第791話 ページ49
轟焦凍は動揺していた。
水無月Aは、天邪鬼な人間だった。轟に対しても「お人好し」「お節介」「大きなお世話」といった刺々しい言葉を敢えて使う、素直じゃない人だった
水無月Aという人間を、この10ヶ月でそれなりに 分かってきているつもりだった轟も＿＿＿
『アンタみたいな奴に、もっと早く会いたかったなぁ』
こんなにも弱々しい水無月は初めてだった
「A。お前やっぱ 昨日何かあった──･･･」
轟は途中で言葉を詰まらせる
彼の心臓はバクンバクンッと飛び出してしまいそうな程 大きな鼓動を打ち、顔はカァッと熱くなる。その原因は明白。水無月が、轟の胸に飛び込んできたからだ
「A･･･ど、ど･･･した」
冬空の下。顔を真っ赤にさせた轟は 突然の状況にすっかり狼狽え、彼女を抱き締め返す事も出来ず、両手をさ迷わせていた
『轟』
「な、んだ」
『「ここ」は、本当に居心地がいいな』
「･･･？」
それって、どういう
『轟･･････私･･･』
purururu!! purururu!!
その空気をブチ壊すように、水無月のポケットから電話音が鳴り響く
『･･･』
鳴り響く電話音は、まるで催眠術を解くように彼女の目を覚まさせたのか、水無月は軽く笑う
『なぁーんて、冗談』
「･･･はっ！？」
小馬鹿にしたように笑う姿は、いつも通りの水無月だった
『アンタ朴念仁かと思ってたけど、そういう顔もできるんだ』
「お前っ、揶揄うなよ」
『はいはい、ごめんごめん』
水無月はスマホの画面に視線を落とす
『私 電話かけ直すから先に戻ってて。多分、明日の事』
「あぁ、インターンか」
水無月に促され、言われた通り室内へ戻ろうとした轟は、玄関扉に指を引っ掛けた所で動きを止める
「A！」
大きな声で名前を呼ばれ、少し驚いた顔で振り返る水無月
(･･･良いのか？Aはさっき、何か俺に伝えようとしてた。深刻な声だった。大事な話をしようとしてたんじゃ･･･)
「･･･いや･･･何でもねえ」
『そう？』
轟は何も聞かなかった
他人に詮索される事を極端に嫌う水無月を想っての事だ。これこそ、轟が水無月と過ごした約10ヶ月の月日で身に付けた、彼女との付き合い方
彼女が自分から言っても良いと思ってくれるのを待つ
それでいい。それがいいのだと
少し後ろ髪を引かれながら
轟は先に皆のいる室内へ戻って行くのだった
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りんご - やばすぎる、、、水無月ちゃんマジでわかんないよぉ！！！ひとつ前の話でめっちゃドキドキしてたのに急に不穏、、。更新待ってます切実に！！！！ (2月3日 16時) (
レス) @page50 id: 74b2d2c40a (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - …………え？ちょ、理解がぁぁぁ！！！追いつかないです…。楽しみすぎて大好きです！ (1月31日 18時) (レス) @page50 id: c175c601fa (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ほんとに激アツ展開すぎて、、おもろすぎる笑笑続きが気になりすぎて毎日このページを開いてます！更新待ってます！ (1月30日 5時) (レス) id: d76e5356db (このIDを非表示/違反報告)
tr. - 驚きすぎて事実を受け止めきれない…読みながらどういうことだよ…！？ってなってしまった、流石に続きが気になりますよこれは…！！ (1月28日 18時) (レス) @page50 id: f75fa0a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 一体どういう事なんだ！？！？続きが気になりすぎます､､､！！！ (1月28日 5時) (レス) @page50 id: 3d02d57991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2023年9月9日 0時
