第790話 ページ48
「良い香りだな」
『そう？』
轟は素直に「ああ」と頷いた
「Aに合ってる。品があって優しい香りだ」
「？」
あまりに静かな水無月を不思議に思い、轟は隣を見た
『･･･』
水無月は、信じられないようなものを見る目で轟を見ていた。だが暫くして、何を思ったのか『ハッ』と鼻で笑う
『アンタって本当･･･何でそんなに似てるわけ？』
眉を顰めて笑う水無月のその顔が、轟には どこか泣いているように見えて、何か失言してしまったのかと戸惑う
『･･･ねぇ』
「どうした？」
『轟はさ･･･───
もし目の前に泣いてる子供がいたら どうする？』
「は？」
水無月の唐突な質問に、轟は更に戸惑うしかない
『ねぇ、どうする？』
「ぇ･･･っと」
そんな事よりも轟は、ズイッと距離を詰めてきた水無月の近さに驚き、顔が熱くなるのを感じた。風が吹けば水無月の毛先が頬を擽るほどに二人の顔を近く、轟は思わず顔を背けた
「まぁ･･･まずは、話を聞く･･･よな。何か俺に出来る事があるかもしれねぇし･･･」
『話した事も、会った事もない見ず知らずの子供を？』
「？･･･けど困ってるんだよな？その子は」
その言葉に、水無月は僅かに眉を顰める
『･･･まあ、そうね』
「なら救ける」
迷いの無い答えに、水無月は思わず息を呑んだ
「絶対に救ける」
『･･･』
轟の真っ直ぐとした双眸に、水無月は目を見開き
その綺麗な顔を悲痛に歪めた
『とど･･･っ』
水無月は何か言おうとしたようだが、何かが喉でつっかえたように声は出なくなり、グッと口を閉じる
『そっか』
伏し目がちな瞼から覗く その瞳には悲しげな色が浮かんでいた
『･･･轟』
心底 呆れたように重い溜息をついた水無月は、前髪をグシャリと掻き上げる
『アンタって本当に
.
優しいね』
だが、水無月の声は驚くほど優しく温かかった
「･･･え？」
『そのまま変わらないでいてね』
澄んだ湖のように清らかな碧眼も、形の整った唇も、彼女が轟に向けているものは全て優しく穏やかだった。普段の冷たさや刺々しさなど微塵も無く、水無月は目を細めてニコッと笑った
『轟はずっと、そのままでいてね』
その笑顔は、雄英文化祭のミスコンで轟が花冠をプレゼントした時と同じ。まるで春の木漏れ日のように優しく温かで眩しい笑顔だった
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りんご - やばすぎる、、、水無月ちゃんマジでわかんないよぉ！！！ひとつ前の話でめっちゃドキドキしてたのに急に不穏、、。更新待ってます切実に！！！！ (2月3日 16時) (
レス) @page50 id: 74b2d2c40a (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - …………え？ちょ、理解がぁぁぁ！！！追いつかないです…。楽しみすぎて大好きです！ (1月31日 18時) (レス) @page50 id: c175c601fa (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ほんとに激アツ展開すぎて、、おもろすぎる笑笑続きが気になりすぎて毎日このページを開いてます！更新待ってます！ (1月30日 5時) (レス) id: d76e5356db (このIDを非表示/違反報告)
tr. - 驚きすぎて事実を受け止めきれない…読みながらどういうことだよ…！？ってなってしまった、流石に続きが気になりますよこれは…！！ (1月28日 18時) (レス) @page50 id: f75fa0a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 一体どういう事なんだ！？！？続きが気になりすぎます､､､！！！ (1月28日 5時) (レス) @page50 id: 3d02d57991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2023年9月9日 0時
