第789話『最後の本音』 ページ47
突き放すような水無月の言動に、胸がズキンと苦しくなった
「･･･何があったんだ？」
『何の事？』
「最近、変だろ」
『そう？』
「そうだろ･･･」
轟は固く拳を握り締めた
「何で･･･何でそんな･･･っ」
＿＿俺たちと距離を置こうとするんだよ
という言葉を、轟は飲み込んだ
(最近のAは、入学してすぐの頃にみてえだ。雄英体育祭前の･･･皆にも、俺や緑谷にも心を閉ざしていた あの頃の)
Mt.レディのメディア授業の時から･･･いやもっと明確に言うと、風邪で高熱出し教室で倒れた日からだ
「学校の事にも身が入ってねえし。俺たちといる時もボーッとする事が増えた」
『気の所為でしょ』
「本気で言ってんのか？授業の時も、自主練の時も･･･お前は最近ずっと上の空だった！」
『あー煩い！お前には関係』
「なくねぇだろ！何でいつもそんなふうに突き放すんだよ」
(やめろ)
こんな強引に聞くべきじゃない
Aが自分から話してくれる時を待つべきだ
(でもっ･･･今ここで「そうか、ならいい」なんて言ってしまったら、駄目な気がする)
「俺たちには、話せない事なのか」
『･･･』
悲しそうに眉を顰める轟。それを水無月は面倒臭そうに見てから重い溜息をついた
.
あるところに、小さな子供が泣いていました。
その子は、とっても泣き虫で
いつもいつも泣いていました。
だぁーれも寄り付かない 廃れて古びた公園で
ひとりぼっちで泣いていました。
「だれか たすけて」
救けを求める小さな声は、ヒーローに届く事はありませんでした
その子の世界には、正義の味方なんて いませんでした
家族にもヒーローにも
誰にも手を差し伸べられなかった その子は
人の温もりを知らずに育ったその子は
心を暗く黒く染めてしまった その子は･･･───
.
『･･･』
物思いに耽る水無月と、水無月の言葉を待つ轟。1月の冷たい風が二人の髪を煽り、甘く上品な香りが轟の鼻腔を擽った
「A、いつもと違う匂いがする」
『･･･』
水無月は自身の手を轟に突き出した。この香りだ。柔らかく清楚で、スッキリした中にも控え目な甘さがある華やかな香り
「ハンドクリームか？」
『香水』
「香水？普段そんなのつけてたか？」
『中学の時の。今日は暇してたから 要らない物の整理とかしてたら香水のビンを割っちゃった』
(今日は仮病か)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3656人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご - やばすぎる、、、水無月ちゃんマジでわかんないよぉ！！！ひとつ前の話でめっちゃドキドキしてたのに急に不穏、、。更新待ってます切実に！！！！ (2月3日 16時) (
レス) @page50 id: 74b2d2c40a (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - …………え？ちょ、理解がぁぁぁ！！！追いつかないです…。楽しみすぎて大好きです！ (1月31日 18時) (レス) @page50 id: c175c601fa (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ほんとに激アツ展開すぎて、、おもろすぎる笑笑続きが気になりすぎて毎日このページを開いてます！更新待ってます！ (1月30日 5時) (レス) id: d76e5356db (このIDを非表示/違反報告)
tr. - 驚きすぎて事実を受け止めきれない…読みながらどういうことだよ…！？ってなってしまった、流石に続きが気になりますよこれは…！！ (1月28日 18時) (レス) @page50 id: f75fa0a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 一体どういう事なんだ！？！？続きが気になりすぎます､､､！！！ (1月28日 5時) (レス) @page50 id: 3d02d57991 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾林檎 | 作成日時：2023年9月9日 0時
