第785話「水無月の初恋」 ページ43
『要らない』
小物の類いを漁っては、ゴミ袋に物をポイポイ捨てていく。すると、手の平サイズの小瓶が出てきた
『･･･』
小瓶を手に取ると、水無月の顔は分かりやすく歪んだ
それは未開封の香水。
水無月はそれを傍ら置いて、再び断捨離に取り掛かる
次に出てきたのは、ライター
水無月はおもむろにライターに火を付ける
『やっぱり、もう何とも思わない』
昨年までは、ガスコンロのような小さな火にすら若干の拒絶反応を感じ、大きな火を見れば 最悪の記憶が蘇って動けなくなってしまう程の発作を起こしていたというのに
これは ひとえに、轟焦凍の尽力のおかげだ
水無月は林間合宿や仮免試験での大失態を経て、火事場のトラウマを克服したいと強く感じた。そして半冷半燃の"個性"であり、水無月のトラウマについても知っている轟に手を借り、水無月は炎に慣れる訓練を続け
現在は克服しつつあるのだ
そもそも水無月は初めから炎にトラウマを抱えていたわけじゃない。確かに母親は火災で亡くなったし、それも原因の一つではある
だけど昔は炎を見ても･･･言い知れない恐怖心が胸を苦しめる事はあっても、あんな酷い発作を起こす事は無かった。当然だ。水無月は記憶喪失で、母を亡くした日の事を明確に覚えていないから
水無月が、発作を起こす程の炎がトラウマになってしまったのは、中学2年生の時だった。中学生の頃の水無月は、学校では品行方正な模範生を完璧に演じつつ
実は入学式の前日に髪を金髪に染めていたり、水無月家の稽古も頻繁にサボるようになったり、しまいには煙草を吸ったり県外にまで足を運んで繁華街をあてもなく歩き、夜遅くに帰ったりと荒んだ心で日々を過ごしていた
彼と出会ったのも、そんな日々を過ごしていたある日の事だった
【 3年前 6月23日 】
「やめとけよ。こういうの」
水無月の口から煙草を抜き取り、説教を垂れた男子高校生
「もっと、自分を大事にしろよ」
その「黒髪の男」は、初めて会った時から変な男だった。出会ったばかりの水無月に付き纏い、悪い事をするなと説得し続け、水無月は何度も男を拒絶した
「放っとけない!!」
「俺はお前を救けたいんだ!!!」
『何で私に付き纏ってたのかは知らないけど、私みたいな人間とは関わらないのが一番よ。
じゃあね。雄英高校のヒーロー志望さん』
「おい待て」
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りんご - やばすぎる、、、水無月ちゃんマジでわかんないよぉ！！！ひとつ前の話でめっちゃドキドキしてたのに急に不穏、、。更新待ってます切実に！！！！ (2月3日 16時) (
レス) @page50 id: 74b2d2c40a (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - …………え？ちょ、理解がぁぁぁ！！！追いつかないです…。楽しみすぎて大好きです！ (1月31日 18時) (レス) @page50 id: c175c601fa (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ほんとに激アツ展開すぎて、、おもろすぎる笑笑続きが気になりすぎて毎日このページを開いてます！更新待ってます！ (1月30日 5時) (レス) id: d76e5356db (このIDを非表示/違反報告)
tr. - 驚きすぎて事実を受け止めきれない…読みながらどういうことだよ…！？ってなってしまった、流石に続きが気になりますよこれは…！！ (1月28日 18時) (レス) @page50 id: f75fa0a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 一体どういう事なんだ！？！？続きが気になりすぎます､､､！！！ (1月28日 5時) (レス) @page50 id: 3d02d57991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2023年9月9日 0時
