第777話 ページ35
『･･･っ寒』
体がブルッと震えた。
その感覚に、水無月の意識は戻って来た。今が1月の夜で、自分が水無月家の離れに来ていた事を思い出しながら、寒さから自分の肩を抱く
『･･･くだらない事ばっかり』
自分に呆れて『はぁ』と息を吐くと、真っ白な息が水無月の口から溢れた
.
.
「A、本当に乗っていかなくていいのか?」
『いいよ。それにエンデヴァーさんの車、もういっぱいでしょ』
「親父を降ろす」
『い、いや大丈夫』
水無月は丁重にお断りして、溜息をつく。
『･････････アンタって、本っ当にお人好しだね』
「え」
急に侮辱された轟は当然この反応だ。だが水無月は続ける
『ずっと不思議だった』
「えっ、と･･･何がだ?」
『･･････私とアンタ、何が違うのか』
「･･･」
「･･･違う?」
その言葉に、轟は胸がズキンッと痛んだ
明確に引かれた境界線。突き放されたような感覚に、少なからずショックを隠せない轟の事など露知らず、水無月は轟が育ってきた大きな家を見上げる
『アンタのお母さんや兄弟は･･･傍観するしかなかったとしても、ちゃんとアンタを想っていた。エンデヴァーも･･･やった事は許されない。けど、あの人も･･･不器用ながらにアンタを思ってる』
「･･･」
『(･･･轟がエンデヴァーから受けてきた特訓は、ほとんど虐待に近いものだったはず。だけど、轟がエンデヴァーを恨んで、憎んだのも･･･自分が苦しめられたからじゃない
お母さんが酷い事をされて、お母さんが苦しんだからだ
エンデヴァーの事も口では憎んでいる、許せないと言いながら･･･
でも君は、とても優しい人だから
待ってる･･･ように見える】
緑谷の言葉は、妙に納得する説得力があった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3656人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご - やばすぎる、、、水無月ちゃんマジでわかんないよぉ！！！ひとつ前の話でめっちゃドキドキしてたのに急に不穏、、。更新待ってます切実に！！！！ (2月3日 16時) (
レス) @page50 id: 74b2d2c40a (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - …………え？ちょ、理解がぁぁぁ！！！追いつかないです…。楽しみすぎて大好きです！ (1月31日 18時) (レス) @page50 id: c175c601fa (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ほんとに激アツ展開すぎて、、おもろすぎる笑笑続きが気になりすぎて毎日このページを開いてます！更新待ってます！ (1月30日 5時) (レス) id: d76e5356db (このIDを非表示/違反報告)
tr. - 驚きすぎて事実を受け止めきれない…読みながらどういうことだよ…！？ってなってしまった、流石に続きが気になりますよこれは…！！ (1月28日 18時) (レス) @page50 id: f75fa0a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 一体どういう事なんだ！？！？続きが気になりすぎます､､､！！！ (1月28日 5時) (レス) @page50 id: 3d02d57991 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾林檎 | 作成日時：2023年9月9日 0時
