3話 ページ4
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風雅の予期せぬデレに射抜かれ頭を抱えること10分、
ハッと本来の目的を思い出す。
「が、学校…!!」
身支度と朝食を簡単に済ませ、ダッシュで家を出て、いつもより2本ほど遅い電車に乗り込む。なんとか間に合いそう!と確信し安堵していると
「あれ、Aちゃんや!なんや今日遅いやんか」
と、風雅と同じグループに所属する"西村拓哉"くんが声を掛けてくれた。さすがLilかんさいのビジュアル担当は朝昼晩関係なくビジュが良い。眩しいくらいに。
「西村くんおはよ」
「なんや朝からお疲れ気味?電車の時間もいつもとちゃうよな?寝不足?」
「んー、寝不足ではないけどちょっと…朝からその…風雅が」
「え!!ふうさんに何かされたん!?」
「あ…!違う違う!何かされたとかではなくて…!」
語弊を生む言い方をしてしまった為、今朝の出来事を簡潔に話すと西村くんは「ほほ〜ん」と口角を上げてニヤついた。
「な、なに突然にやにやして…!」
「いや〜?Aちゃんは本当にふうさんのこと大好きやな〜と思って♡」
「ん゛…、まぁ…嫌いではない、けど」
「ぷぷっ、大好きやん!」
「からかわんでよ!もう!」
以前から西村くんには風雅のことで度々相談に乗ってもらっていたのだが、どうやら私が風雅への"好き"を自覚する前から西村くんは私の本当の気持ちに気付いていたらしく、
本格的に"好き"を自覚して以来、たまにこうしておちょくってきたりするのだ。
風雅のことは好きだけど、大好きだけど、この気持ちはきっと一生届かないものだから、届くはずのないものだから、ずっとずっと仕舞っておかなきゃ。本人に触れられないように、ずっと。
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作者名:きゅる | 作成日時:2022年8月15日 4時