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* me
地下駐車場からエレベーターに乗り込み、全身鏡に振り向けば、そこにはいつもより少し可愛い自分が映っていた。そしてその隣には、私よりもずっと背の高い彼が居て、その光景をまじまじと見ているとクスッと笑われた。
『見すぎだろ』
「や、⋯紫耀いるって思って」
『そんなに会いたかったの?』
「⋯⋯うーん」
『ばか考えんな』
「紫耀は?」
『俺は会いたかったよ』
「⋯⋯ね、私も会いたかった」
"だから会えて嬉しい" そう言ってエレベーターの中なのにも関わらず私を抱きしめて幸せそうに笑う紫耀に、私も背中に腕を回した。紫耀のツアーや撮影が忙しくて、1ヶ月ぶりに会えたんだもん。私だって会いたかった。
今日のために美容院に行ったし、まつパもし直したし、下着も新調したし、脱毛だって行ったんだから。
『なんかま〜た可愛くなったね』
「⋯え?ほんと?」
『うん。髪の毛つやつやだし』
「トリートメント行った!」
『まつ毛もくるんって』
「すごい⋯」
『カラコン?も変えた』
「⋯⋯ねえすごいフチありにしたの!」
『あは、めっちゃかわいいじゃん』
「⋯っ、スパダリすぎ〜!あいしてる〜〜!」
『うおっ!(笑)』
*
*
*
そんな会話をしながら紫耀の住むお家に着いて、やっぱりこの広さと窓の大きさには慣れないけど、紫耀の香りに包まれてどこか安心した。
『Aちゃ〜ん出前とろ〜〜』
「中華がいい!」
『中華にしよっか、見ていいよ。この辺ある?』
「ん〜⋯あった!」
今日は出前取ろっかって、そう話した車内で私は #美味しい餃子 なんて調べていたものだから、どうしても中華が食べたいみたいで。
紫耀がはいって携帯を渡してきて、自分はそのままキッチンに向かった。そういう所も紫耀を信用できるところ。ソファに座って携帯の画面に夢中になっていると、横に座った紫耀に抱きしめられた。
『あ、これいーじゃん』
「いま食べたいってみてたそれ(笑)」
『カート入れて』
「2個?」
『うん』
「あ、待ってこれも食べたい!」
『どんだけ食う気だよ』
2人でひとつの画面を共有して注文をした。到着までの40分、この体制のままテレビを付けると、ちょうど紫耀が写っていて、「あ⋯」と釘付けになる私にケラケラ笑う紫耀に私もつられて笑った。
*
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作成日時:2022年10月29日 19時