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3話 ページ4

カチカチと、時計の針の音が聞こえる。

そしてペンを走らせる音___かと思いきや、私はペンを置いて伸びをした。



「意味わかんないよ……」



たまにはスマホや本ばかり読んでないで勉強してみよう、そんな思いで1学期に貰ったらしい教科書を開いてみても、何が書いてあるのかさっぱり分からない。

そもそも小学生のときから学校に行かず勉強もせず過ごしていたのに、急に中学2年生の勉強をしようなんて考えが無謀だった。
今頃学校にいる皆はどんどん先に進んでいっているのだろう。
大した記憶力も頭の良さも持ち合わせていない私には到底届きそうもなかった。

……夢に出てきたあの人、頭良さそうだったな。



「いやいや……さすがに高校生に小学校の勉強教えてもらうのは…」



恥ずかしいにも程がある。きっと鼻で笑われる。



「……ちょっとまって」



そもそもあの夢は最初で最後かもしれないし、どうして私はあの人と会う前提で話を進めていたんだ。
恥ずかしさやら気味悪さやらで、私は小さくため息をついた。

.

.


「…スマホで探したら、動画くらい見つかるかな」


.

.

.

休憩したりちまちま勉強したり、そんなことをしていたらあっという間に日が暮れた。

今日はいつもより多く頭を使ったからか、はたまた慣れない事をしたからか。頭も体も疲れていて今すぐにでも眠れそうだった。
こういう時に2階にもお風呂が欲しくなるが、そんな贅沢は言っていられない。

全て私のわがままだから。
大人しく両親が眠るまで待つことにした。

.

.

お風呂も入り髪も乾かして寝る支度が全て終わった頃には、もう深夜2時をまわっていた。



「……もう、こんな時間か」

「早く寝なくちゃな…」



今日こそ早く起きられたが、私は朝に弱い。基本起きるのはお昼前だ。早く寝ないと起きられないことは頭ではわかっているのだが、両親が寝るのは日付が変わった頃。

まだ両親と顔を合わせる勇気すらない私にとっては、朝起きるなんてもっと難易度の高い事だった。



「……今日は、会いませんように」



机の上を照らしている電気を消して、布団の中に潜り込み、真っ暗になった部屋で目を閉じた。

あの夢を見ないことを、あの人に会わないことを願って。

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作者名:a | 作成日時:2023年9月28日 18時

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