【名探偵コナン】別れようと思うんだけど

▼ ページ37

狙撃が無くなった……助かった。って、言いたいところだがこんな所まで誘導されてしまって勝ち目はほぼゼロ。

きっとここには5分も足らずに炎が回る。すぐさま下に降りたいところだが、撃たれてされてもう足が動かない。
ここが自分の最後かと思い、パーティー会場にあった酒のあるテーブルに近づき、ひとつの酒を手に取った



バーボン


やっぱり、この酒を見るとあの人を思い出してうんざりする。なんでこんな死にそうな時にあの男の顔を思い出しちゃうんだろう。うっとおしくて叶わんわ。


でも、自然に彼との少ないけれど優しかった思い出が溢れて、それをそのまま飲み込んだ。




『降谷さんの…………バーカ。………ほんまは好きやったよ』



未来永劫。これからも、死んでも。あの顔は忘れられんと思う。来世に期待しよう。

んでもあのクソババアだけは祟り殺してやる。
どうせ安全な場所でぎゃーぎゃー喚いてんだろ！


ムカつくわ、ほんま。





『あっ………もう、ほんま最悪……』




テーブルには新しくプラッチック爆弾が２〜３個。ビル1つ吹き飛ばすにはちょうど良いと考えたんだろう。アホくさ、ほんまにここで死ぬんやなぁとしみじみと酒を煽り、


テーブルに爆弾を並べて来ない助けを待つ。

外の景色を見ると、すぐ正面の低い建物の赤い街頭がきらきらと輝いていた。


もうすぐ死ぬんだと考えるとなんだか手招きされてるみたい





『おかん、おとん。………悔しいけどすぐそっち行くわ。…………ん？』





ピコンっ、ピコンっとエレベーターの階が進む音がする。大型エレベーターの方を見ると上に上がってきている。

誰や、なんで…………救助隊の人やろうか……？


エレベーターがゆっくりと開き、中なら白いスポーツカーが勢いよく飛び出した。









「A！！！！！！！！」





幻覚やん、なんでここにおんねんこの人。ついに出たか疫病神め。でもくっそ、かっこいい






『なにしとん………ばか。……RX-7なんかで来んなや……』





死ぬ恐怖で耐えられなくなり彼に飛びついた。
怖い、やっぱり死ぬのは怖いよ降谷さん。






『でも、最後に会えてよかった………』





抱きしめる腕が強くなる。あぁ、ずっと求めてたものだ。これで死ぬのは怖くないのかもしれない。







「………君可愛すぎないか？」






『えっ、雰囲気ぶち壊し？？？？これから死ぬかもしれんねんで？』




「悪いがまだ死なないし、死なせない」

▼→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す