7��演じて ページ8
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ちら、とシュウの顔を見やる。彼もまた、私のことを困ったような顔で見ていた。
いやいやいやいや、私のせいじゃないですよ。
とは思うも、誰かがこの場をどうにかしないと、ヴォックスの感情は止められそうに無さそうだ。
シュウに厳しい目線を送るのは一旦保留にして、先程、彼と交した約束を思い出す。
『これは、僕と君だけの秘密だ』
つまり、ヴォックスにことの経緯を伝えることは出来ない。
そして、私がいつもの私では無いことも悟られてはいけない。
じゃあ、私が取るべき方法はたっとひとつしかない。
目を瞑って、先程闇ノシュウに見せてもらった、配信のアーカイブを思い出す。
画面の中の私は、よく笑っていた。雰囲気は女の子みたいなふわふわした部分もあるのに、ほんの少しだけかっこいい雰囲気も出ているような。両方を兼ね備えた人のオーラだった。
大丈夫。あれはきっと、私だから。私ならできる。
後ろを振り向いて再度ヴォックスの顔を見上げた。
パチリと、彼と目が合う。
「A？」
彼の問いかけに微笑んで、柔らかく答えた。
「大丈夫だよ、ヴォックス。
ホントにジャムがついてたんだ。さっき、このスプーンでジャムをつまみ食いしたんだよね」
ほらっ、と見せたのは、手元に置いてあったジャムが付いているスプーン。勿論、私が使ったものでは無い。闇ノシュウが先程パンに塗るのに使っていた物だ。
「だから君が心配している事なんかしてないよ、信じて」
再度、ヴォックスの目に訴える。
彼は少しだけ、動揺しているように見えた。そして数秒後「そうか、なら、いい」と言い、私の身体から右腕を離してくれた。
どうやら、私の心臓は止まらずに済んだらしい。
「シュウも悪かった。俺の勘違いだったようだ」
「いや、いいよ。それより、ヴォックスも朝ごはん食べる？」
「あぁ」
一通り会話を交わしたヴォックスは、私の頭をポンポンと優しく撫でて、キッチンの方へと歩いて行った。
「A、ありがとう。助かったよ。
やっぱり、AはAだね」
闇ノシュウはヴォックスに聞こえないように私に耳打ちして、彼もまたヴォックス同様にキッチンの方へと行ってしまった。
残された私は、もう一度席に座り直して、今度こそ食パンにイチゴの真っ赤なジャムを塗りたくり、それを口いっぱいに頬張った。凄くすごく甘くて、少しだけ酸っぱい味がした。
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雨如(プロフ) - カザリさん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります^ᴗ.ᴗ^♡ (4月17日 22時) (
レス) id: dd64d6e930 (このIDを非表示/違反報告)
カザリ(プロフ) - enのお話を読めてホントに嬉しいです！これからも更新頑張ってください!！ (4月9日 18時) (レス) id: 4546913554 (このIDを非表示/違反報告)
雨如［ｱﾒｳ］(プロフ) - りずさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。今後も無理せず更新していきますので、よろしくお願いします₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (3月21日 21時) (レス) id: b032e94894 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - enのお話読んでみたかったので楽しみにしています。無理なく更新頑張ってくださいね。 (3月21日 14時) (レス) id: 320cdb1bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨如 | 作成日時：2024年3月21日 1時
