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「……ヴォックス」
シュウの声に後ろを振り向くと、部屋の扉の近くに、あのヴォックス・アクマが立っていた。
うわ、本物だ、どうしよう、顔が良すぎて吐きそう。
そんな私のぐちゃぐちゃで若干気持ち悪い感情を他所に、彼はこちら側にスタスタと歩み寄ってきて、次の瞬間、私を後ろから抱き締めたのだった。
「！？」
ヴォックスの右腕に引っ張られたせいで、私の体はシュウから距離を取り、逆に背中がピッタリとヴォックスの胸板がくっつけられた。自分の後ろに置かれている椅子にぶつかってふらつきそうになったが、それも彼の腕でしっかりと抑えられる。
今日はこんな事ばかりで、本当に、心臓が幾つあっても足りない。もう気を失ってしまった方が楽では無いのか、と思う程に。
左上を見ると、ヴォックスの整った顔がすぐそこにあった。もうドキドキなんか通り越して、ただただ感嘆してしまう。彼の綺麗すぎる横顔に。
「違うよ、ヴォックス」
「何が違うんだ。どう見ても今Aにキスしようとしてただろ、この清楚の皮を被った肉食動物め」
シュウの言葉に食いつくように、ヴォックスがいつもの早口で捲し立てている。のだが、その内容は割といつもの彼らしく少し的外れな内容だった。
と言うか、万が一、億が一、シュウが私にキスをしようとしてたとして、ヴォックスに何か不都合でもあるのだろうか。いや、普通に自分が滞在している家で、人と人が場所を問わずにキスをしようとしていたら、誰でも嫌か。
まあ勿論、そんな事は絶対に無いので、彼には是非安心してもらいたいものだが。
「違うんだ。Aの口元にジャムがついてたから、それを取ってただけだよ」
「ほう」
ヴォックスの視線が、私の目の前に並べられているお皿へと移った。
そこには、少しも手をつけられていない食パンと、半分程中身が減ったティーカップが置かれているだけだ。
「Aはまだパンを食べていないようだが？」
「あっ、」
闇ノシュウの間抜けな声が、静かな空間に響いた。
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雨如(プロフ) - カザリさん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります^ᴗ.ᴗ^♡ (4月17日 22時) (
レス) id: dd64d6e930 (このIDを非表示/違反報告)
カザリ(プロフ) - enのお話を読めてホントに嬉しいです！これからも更新頑張ってください!！ (4月9日 18時) (レス) id: 4546913554 (このIDを非表示/違反報告)
雨如［ｱﾒｳ］(プロフ) - りずさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。今後も無理せず更新していきますので、よろしくお願いします₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (3月21日 21時) (レス) id: b032e94894 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - enのお話読んでみたかったので楽しみにしています。無理なく更新頑張ってくださいね。 (3月21日 14時) (レス) id: 320cdb1bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨如 | 作成日時：2024年3月21日 1時
