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私がこの家で目を覚ました次の日、ヴォックスは家に帰らなければいけない、と言い、直ぐに帰る準備をし終えてしまった。
どうやらこの家は、私とシュウのみが暮らす家らしく。そこに色んなENの人達が定期的に宿泊しに来るらしい。
｢もう帰るの？｣
｢あぁ、また来るよ｣
玄関前で、彼が出て行くのを見守る。推しとしての彼が居なくなるのが心苦しいのは大前提で、彼自身が居なくなってしまう、というのも形が違ったような寂しさが確かにあって。私はそれを、上手く言葉に出来ずに居た。
｢A、こっち｣
ちょいちょいっと、手招かれたので彼の傍に近寄る。
彼のすぐ目の前まで来た瞬間、頭の後ろに手を回されて、次の瞬間ヴォックスの胸元へと引き寄せられていた。
｢そんな顔するな。……帰れなくなる｣
耳のすぐ横でそう囁かれ、ポンポンと頭を優しく数回撫でられる。
どうやら、私の感情は口に出さずとも、表情に出ていたらしい。
そのまま本当に帰れなくなっちゃえばいいのに……。
｢ヴォックス〜？長くない？｣
一緒に彼を見送っていたシュウが後ろの方からそう言葉を発すると、ヴォックスは名残惜しそうな顔をしながら、私を彼の身体からそっと離した。
｢全く。自分はAにすぐくっつく癖に、他人には厳しいんだな。これだから清楚皮被り野郎は。
A、よく聞くんだ。あんな男に騙されちゃいけないよ。シュウは嘘を平気でつく汚い奴だからな｣
｢ヴォックス、それは言い過ぎでは？｣
少し屈んで、私の目を真っ直ぐに見つめてそんな事を言うヴォックスと、それを制するシュウ。よく分からないけれど、彼らが凄く仲良しという事だけは理解出来た。そうでないとこんな冗談、言い合えるはずもない。
｢また、絶対来てね。ヴォックス｣
何を言うのが正解かも分からないまま、そうとだけ言うと、彼はただ優しい顔で頷いてくれた。
｢あぁ、勿論。またお前に会いに来る｣
シュウにも会いに来てやってくれ、とは思ったが流石にそんな事を言い出せる状況では無かったのでやめておいた。
帰り際、彼は私達に置き土産をしていくように、笑顔で一言残していった。
｢俺の代わりにまた人が来るから、今度はそいつと楽しむといい。
あ、でも絶対に隙は見せるなよ。どいつもこいつも野良犬みたいな男ばっかりだからな、ENは｣
ヴォックスって、偶にお父さんみたいなことを言うな、と思いながら。私は彼の消えていく背中を、ただただ見守っていた。
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雨如(プロフ) - カザリさん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります^ᴗ.ᴗ^♡ (4月17日 22時) (
レス) id: dd64d6e930 (このIDを非表示/違反報告)
カザリ(プロフ) - enのお話を読めてホントに嬉しいです！これからも更新頑張ってください!！ (4月9日 18時) (レス) id: 4546913554 (このIDを非表示/違反報告)
雨如［ｱﾒｳ］(プロフ) - りずさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。今後も無理せず更新していきますので、よろしくお願いします₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (3月21日 21時) (レス) id: b032e94894 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - enのお話読んでみたかったので楽しみにしています。無理なく更新頑張ってくださいね。 (3月21日 14時) (レス) id: 320cdb1bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨如 | 作成日時：2024年3月21日 1時
