0��Prolog ページ1
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風が冷たい日だった。
私はその日の夜、大きな海が見える崖の上に立って居た。
なんてこともない、ごくごく普通のことをする為に。ただそこに居た。
「……それにしても、今日は寒いな」
誰にも聞こえないのにも関わらず、そんなことを呟いてみる。勿論、誰からも返事は無い。ある筈もない。
ただ目の前では、海が崖の壁を削るように、何度も何度も波の音を響かせいていた。
パーカーのポケットに入っているスマホを手に取り、目の前に取り出す。
画面をタップしてみるが、誰かから連絡が来ている、という訳でもない。ただそこに表示されているのは大好きな彼の名前と、その彼の配信の通知だけ。
「特に、未練なんて無いつもりだけれど」
願わくば、大好きな君に、君達に。――なんて、そんな事今更考えても意味が無い。
それでもどうか君達だけは、ずっとずっと幸せに過ごしてくれますように。
私みたいな人間とは違う未来を歩けますように。色んな人に愛されて、色んな人に大切にされて、いっぱいいっぱい夢を叶えられますように。
そう願いながら、そっと目の前に広がる真っ暗な海にスマホを落とした。
少ししてぽちゃんっと音がして、数秒しない内に波の中にスマホの姿は消えていった。
その後、私も崖の上で思い切り足を踏み出して、空に自分の身体を投げ出した。
ビックリするほどに怖さなんてものは無くて、足が少しも躊躇うことなく動いた。
これでこの世界にも、大嫌いなあの人たちにもサヨナラだ。
大好きな人達と別れるのは惜しいけれど。それでも、こんな苦しい思いをし続けるのは苦しくて、辛くて、息苦しいから。
だから、これでよかったのだ。
その瞬間の風だけは異様に優しくて、頬を撫でてくれたような感覚がした事だけは。何故か鮮明に覚えている。
『今度は、君が――――世界を――』
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雨如(プロフ) - カザリさん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります^ᴗ.ᴗ^♡ (4月17日 22時) (
レス) id: dd64d6e930 (このIDを非表示/違反報告)
カザリ(プロフ) - enのお話を読めてホントに嬉しいです！これからも更新頑張ってください!！ (4月9日 18時) (レス) id: 4546913554 (このIDを非表示/違反報告)
雨如［ｱﾒｳ］(プロフ) - りずさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。今後も無理せず更新していきますので、よろしくお願いします₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (3月21日 21時) (レス) id: b032e94894 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - enのお話読んでみたかったので楽しみにしています。無理なく更新頑張ってくださいね。 (3月21日 14時) (レス) id: 320cdb1bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨如 | 作成日時：2024年3月21日 1時
