負けず嫌い ページ6
Aside
「じゃあ今日はこのくらいにしておこうか」
『…………はる、先輩』
「……なんだ」
『僕と、勝負してください』
「ハルと!?」
『……』
「勝ち負けに興味ない」
『承知してます。ただ、なんか悔しくて』
「……負けず嫌いか」
「………一回だけだぞ、手加減しないからな」
『はい』
「ハル!?女の子だぞ!?」
………いらっ。
『着替えてきます』
***
『すみません、遅くなりました。少々手間取って』
「持ってきてたのか……」
ぺたぺたと、台に乗り、ゴーグルを付ける。
「用意」
ゆっくりと体を前に倒し、合図を待つ。
ちらっと横を見ると真剣な顔をしていた。
「ドン!」
パシャンッ!
フリーが得意だったから、フリー対決になった。
速い、速いけど、楽しい。
「凄い…ハルちゃんに遅れをとってない…」
「泳げたんだ」
ぷはっ、と手を壁に付け息を吸うと横にはじっと見てくる先輩。
『……負けた』
むっ、とすれば、手を伸ばしてあげようとしてくる先輩の手。
『…僕、今度は勝ちますからね!』
「……」
『経験値あげますから!』
ぎゃんっ、と吠えればふわっ、と笑うはる先輩。
馬鹿にされた。と、むっ、とした顔をすれば、後ろから渚君の声。
「Aちゃん速かった!」
「驚いたよ、水泳やってたの?」
『いえ、泳ぐのが好きな人とも婚約出来るよう、教育されていただけです』
「こ、婚約……」
『はい』
「着替えてこいA。もう暗い」
『了解です』
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作者名:陽毬 | 作成日時:2018年8月19日 16時