5:帰路 ページ8
貴方side
放課後、先生に頼まれた用事で帰るのが遅くなってしまった。
いつもはお昼のメンバーと一緒に帰ってるんだけど、今日は遅くなりそうだから「先に帰ってて」って言っておいた。
そう、言っておいたはずなのだ。
『え、善逸?』
「ん」
学校の門を出てすぐの所に、善逸が立っていた。
え、この寒い中ずっと立ちっぱなしで待っててくれたの!!??
『ずっと待ってくれてたの!?』
「まってた」
善逸はそう言うと、ズッ、と鼻をすすりながら笑顔でピースサインを向けてきた。
そのピースサインを作っている指先も、外の寒さで赤くなってしまっている。
『ありがとう…上着もマフラーも無しで…』
このままでは善逸が風を引いてしまう。
善逸が辛い思いをするのは、嫌だ。
そう思い、私は自分が巻いていたマフラーを外し、善逸の首に巻き直した。
途中で善逸が、俺はいいから、と抵抗してきたが、それでは私の気が収まらない。
なんとか説得して、マフラーをつけてもらった。
「暖かいわこれ」
そりゃそうだ
まだ11月とはいえ、もう冬も近い。
夜は冷え込むし、暗くなるのも早いから、外でいるのは危ない。
『もう、先に帰っておいてって言ったのに』
2人で帰路に着きながら、善逸にそう言う。
「だって最近暗くなるの早いし、貴方を1人で帰らせるのも危ないと思って…」
どうやら、私のことを心配して待っていてくれたらしい。
本当に、善逸は女の子に優しいな。
『善逸が1人で門の前でいるのも危ないよ!不審者とか来たらどうするの?』
「それ貴方も一緒だからね!?ブーメラン発言だよブーメラン発言!」
「ていうか、不審者とかなら尚更貴方の方が危ないじゃん」
確かに私は力もそれほどないし、いざと言う時は声も出ないだろう。
『確かにそうかも…』
「でしょ?」
肯定せざるを得なかった。
私が男だったら、善逸を守れたのかなぁ。
「それに…」
「貴方と一緒に帰りたかったし…」
善逸がふと、そう言った。
素直に嬉しかった。
ああ、善逸は私と帰ることが嫌じゃないんだなって、安心した。
それと同時になぜか
心臓がきゅうと縮んだような気がした。
喉の当たりが少しだけ痛かった。
なんだか少し、耳だけが熱いような気もした。
『やっぱり、今日は寒いね』
そう言って、暖かくなるために
さっきよりも少しだけ善逸に近寄って歩いてみた。
そしたら善逸も、少しだけ近くに来てくれた。
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湫(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます!誤字の件、失礼しました!!;;全く気が付かず…!!直させて頂きました!ご指摘ありがとうございます! (2019年12月21日 16時) (レス) id: b9582a37b2 (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - かふぇいんさん» コメントありがとうございます!まさか初期設定の「貴方」が吉と出るとは…!w新しい楽しみ方ですね!w (2019年12月21日 16時) (レス) id: b9582a37b2 (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します!この小説、読んでて楽しくて好きです!…あの、1箇所誤字がありましたよ(ボソッ)11の相談相手の、最初の方「カナヲ」が「ナカヲ」になってます!このコメで不快にさせてしまったらごめんなさい! (2019年12月21日 2時) (レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 名前の設定を忘れてそのまま読んだら善逸の台詞が「おはよう貴方」になって勝手に新婚さん気分に浸ってましたありがとうございますウヘヘ (2019年12月20日 23時) (レス) id: 225aa76348 (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - あかはねさん» はじめまして!ありがとうございます!善逸かっこいいですよね…!続きも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2019年12月5日 2時) (レス) id: b9582a37b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湫 | 作成日時:2019年11月7日 22時