犬とベイビー2 (ページ12)

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彼はひとつひとつ言葉を選んで話す。

相手の様子を伺いながら

そして気遣いながら・・・・

それなのに、私は・・・・

「Aに誤解されたままとか・・・嘘ついたとか・・・・嫌なんだ」

「なんていうか分かんないけど・・・・分かって欲しい」

その言葉に、私はありがとう。としか言えなくて

彼の表情は不安げな色を見せ

そして私は突き放した。

ここに来るのは良くないと・・・

親しくなるメリットが感じれない。

あなたにとっても私にとっても。

私は揺れていた、これ以上彼との距離が近くなれば

近くなるほど、現実か夢か・・・区別がつかなくなる。

況してや、大切なお客様。

迷惑だなんて思ってない。

チャニョル・・・その言葉はきっと後悔するよ？

と、どこか冷静な自分もいたけれど

最後に彼が呟いた、私の名前。

”お邪魔しました、Aさん”

胸に突き刺さり、彼が玄関の扉を閉めた瞬間

涙が静かに流れた・・・・

あなたの事、何も知らないのに

どうしてこんなにも辛いのか。

どうしてこんなにも好きなのか。

テーブルの上には飲みかけのコーヒー。

チャニョル

彼の名前を呟いて、私は目を閉じた。