犬とベイビー (ページ33)

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あれから何事も無かったように時間は過ぎていった。

撮影の為、スタジオに入ると
そこには出来れば会いたくない人物がいた。

「オッパ！」

「あーソウンちゃんもここなんだ？」

合同スタジオだから仕方ないけれど

ソウンちゃんに会うと彼女の事を思い出す。

多分それは、あの店を知る少ないひとりだから。

「オッパは、最近Aさんと会ってるんですか？」

「何いきなり？どーしてそんな事聞くの？」

「仲良くなったんです。私の為にキャンドルとか色々選んでくれて」

「そーなの？笑」

分かりやすいぐらい彼女の話題になると
自然と顔がニヤける(気がする)

「いい人ですよね、Aさんって」

「そうだねー愛想良いし」

「そうだ、ここから近いし差し入れもっていってあげません？」

「え？」

「オッパも一緒にどうですか？」

「あーーーーうん、どうかな」

「良ければ、連絡先交換します？」

「ソウンちゃんと？」

「私以外誰がいるんですか？もしかしてAさん？」

「いや、別に」

「オッパ、Aさんの連絡先知ってるんですか？」

「まあ、知ってるのは知ってる」

「羨ましい～～」

「じゃあ俺から連絡とろうか？」

「サプライズでいきましょ？私の連絡先渡しておくので空きが出来たら連絡してください」

「あっちょ」

「お願いしますよー！Aさんに会いにいきましょうねー！笑」

そう言ってバタバタと走っていく
ソウンちゃんをみて

俺は何の違和感も感じなかった。

この出来事が、俺たちを狂わせるなんて

思ってもいなかった。