ヨナの姉は片思い中６

●取り引き ページ12

帆のところにジェハがいた。

話しながら飛び降りてきた。

「僕は本来一人が好きなんだよ
海賊がなくなったって気ままにやっていくさ
それこそ異形の龍達とつるんで何になるんだい
ヨナちゃんと2人旅なら考えるけど
あ でも子守りはしんどいから
もう少し大人の女性になったらね」

ガンッ

「ジェハは意地悪ね ハクみたい」

ぷくっと頬を膨らませたヨナ。

「ほー それはオモシロイ」

「珍しいね 女と見れば
砂吐くよーな台詞しか言わないのに」

「砂...?」

「気になってんのかい? あの娘」

「ご冗談を」


シンアが立ち上がり海を見ていた。

『シンア どうしたの?』

「船が...船が集まってきている」

「「！」」

「何隻だい? よく見えるねぇ」

「７...」

「７隻⁉」

「武器を持った人が乗ってる」

「クムジめ 私らを威嚇してるつもりかい
小僧共 集まりな」



「クムジは近々大規模な人身売買の
取り引きを行うだろう 戒帝国を相手に」

「『戒帝国⁉』」

「戒帝国といっても阿波近くの一部の連中...
クムジのお得意様といったところさ
クムジは徐々に戦力を増やしつつある
それは恐らくクムジにとって
一番大事な取り引きが近くに控えているから
そして 長年対峙してきた海賊......
私らを確実につぶす為だろうね」

ギガン船長は地図を広げ

「阿波の港でドンパチやれば
周辺住人にも被害が及ぶ
よってクムジの船を襲うのは
取り引きが行われるであろう
戒帝国と阿波の真ん中のこの海域」

煙管でトンと叩き場所を示した。

「問題はいつ何時決行するかという事と
集められた女の子達がどの船に乗っているかだね」

ジェハに続きギガン船長は

「そう クムジは売買に使う人間を
そのまま人質としても利用するだろう
むやみやたらと船を襲えば
売買される人間を巻きぞえにする事になる
かといって手をこまねいていては
女達が戒帝国へ渡ってしまう
何とか女達の安全を確保する方法はないものか」

海賊のみんなが口を開いた。

「でも大事な取り引きって事は
クムジも現場に来る可能性が高いって事だろ?」

「頭さえ探し出してふんじばれば
早いんじゃねェか? 何てったって
今度の俺らには心強い味方がいる! 」

「......何にしろもう少し情報が必要だね
私らにとってもこれは絶好の機会」

壁から小刀を取ったギガン船長は

「十数年 この阿波の人間を虐げ
腐った町にしたヤン・クムジと役人どもを
何としてもぶちのめしこの町に自由を取り戻す」

机に突き刺した

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