事務員さんの彼女。２ (ページ36)

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59話ページ36

百「大丈夫大丈夫!
いつもの大和なら言わないって
わかってるから!
だから、今、普通じゃないんだよ...
わかる...?」

苦しそうな表情の大和くんはうなづいた。

百「平気...? 疲れてるんでしょう。
初めての映画撮影で、難役だもん。
IDOLiSH7の仕事だってあるし......」

大「......疲れました。自業自得ですけど......
...最悪な自分と付き合っていくのにもう疲れた...」

百「大和...」

『......』

百「...最悪な人なんていない。
最悪な状況があって、不幸な人を生むだけだ。
それだって、風邪みたいなもんだよ。
自分を好きになれない時ってあるよね。
でも、自分のこと否定ばっかりしてたら、
どんどん、しんどくなっちゃうよ。
自分なのに、自分の中に居場所がなくなっちゃう。
他人の中に居場所がなくてつらいのに、
自分の中から追い出されたら、もっと、つらいよ」

大「百さん...」

百「居場所作ってあげな。
イケメンな大和もヘタレな大和も
ここにいていいんだから。
大和がメンバーにしてあげるみたいに、
大和が最低って言った大和のこと、
優しく慰めて、頭撫でてあげなよ。
頑張れって尻叩くのは、それからでいい。
大和に嫌われたまんまじゃ、大和も頑張れないよ」

大「......でも」

百「なに...?」

大「...本当に最低なんです。
ひどいことをして...言えないでいる。
優しくされる資格なんて、ないんです...
......真剣に話してくれたのに、
ふざけて、流して、終わらせようとした...
ほどほどの関係で良いかって言われて、
傷つけるってわかってて、鼻で笑った...」

『...ッ』

思わず右手を握りしめる。
爪が食い込むなんて気にしない。

大「あんな悲しそうな顔、見たことなかったのに
...っ、突き飛ばして、出てきちまった...。
あの人が言う通りだ。俺は...
愛されたいのに、愛される努力をしない...。
そんな自分を恥ずかしがっているだけの、
......最低な人間です」

百「...それ、誰が言ったの?
お釈迦様が言ったの?
その台詞、胸に刺さらない人類いる...?」

『...(全力で頭を縦ふり)』

大「......千さんです」

百「...うっ...
自分が言われたところ想像して
内臓吐きそう...」

大「...はは...」

百「へへ... やっと、笑ってくれた。
大和ができないなら、オレが撫でてあげようか。
しょぼしょぼしてる大和のこと」

大和くんは静かに止めてくださいと言った。