58話 ページ35
私は大和くんの言葉が
信じられず固まっていると、
ポンっと肩を叩かれ
振り返るとウインクされた。
百「大和! これから帰り?」
大「百さん... Aさん...」
私から目を逸らしながら、
今から帰るところだと返す大和くん。
百「......
今、ユキの家にいるんだって? いいなー!」
大「すみません...
そっちではミツとイチがお世話になって」
百「いいよ いいよ
ケンカしちゃったんだって?
一緒にやってれば、ケンカくらいするよね。
でも、ケンカは正面向いてやった方がいいよ!
背中合わせでケンカしてると、
相手がどんな顔してんのかわかんないから」
百さんは優しい声で、
百「今夜、のんびり、ケンカしに来ない?
三月も一織も待ってるから」
しかし、大和くんは拒絶した。
大「あはは... 大丈夫です。
ケンカとかじゃないんで...
今日も普通に、一緒に仕事しましたから。
ミツの方はなんて言ってるか知りませんけど...」
百「三月は大和から話して欲しそうだったよ。
いろんなことをさ」
大「......」
百「長い時間ケンカしてるのもったいないから、
うちにおいでよ! 話し合ってみたら?
あ、お寿司とってあげるから! ね!」
大「......、うるせえな......」
百&A「『え?』」
大「......うるせえな!
あんたら２人して構わないでくださいよ!
余計にごちゃごちゃしたじゃないですか!」
百「ご、ごめん でも...」
大「正面からケンカって、
あんたらはどうだったんですか⁉
出来なかったから、声も出なくなったんでしょ‼
だいたい、長引かせたのだって、
百さんだったんじゃないんですか⁉
自分で情報通っていう百さんが、
万理さんがうちの事務所にいることを
知らないはずがない。
知ってて言わなかったんだ。違いますか⁉」
『...ッ、大和くん‼』
大「あんたもだ、A‼
2人が万理さんを探していることを知ってたのに
教えなかった! 必死に探している2人を見て、
笑ってたんだろ⁉」
百「......」
百さんが軽く私の腕を引き、
百「......本当に知らなかったよ」
大和くんはハッとし、戸惑いながら謝った。
百「...っ、いい いい!
でも、そう思っちゃうよね...
...ユキやバンさんも、思ってるのかな...」
百さんの悲しそうな切ない声に耐えきれず、
大和くんを睨みながら、
『そんなはずないです‼』
大「...本当にすみません...‼
思ってもないことを言いました。
......こんな......」
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作者名：桜華 | 作成日時：2019年8月20日 3時
