BAD LOVER ４

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電話が切れてしばらく経ったのに、

電話の向こうから聞こえた声が

私の頭から離れることはない。




だってあの声……


絶対に美優ちゃんだもん……





「…っ…」





どうして？



さっき高嗣の携帯にかかってきた電話は

美優ちゃんだったってこと？




……分かんないよ。




いつまでも泣いてちゃだめ。



そう思ってるのに涙が止まらない。




知らない男から、

突然キスされて殴られて…



彼氏の電話の向こうから

女の声が聞こえて……




私どうしたらいいの？




しかも今日帰れないかもしれないって…



そういうことだよね…




「うぅ…っ…」





こんなに泣くくらい悔しくて

高嗣のことが大好きなのに、

もう一度電話をかける勇気…



私にはないよ……




震える手で携帯のアドレス帳を開く。




私の携帯に入ってる連絡先は、

仕事関係の人とか

昔やんちゃしてたときに遊んでた友達。



それくらいしか入ってなかった。




頼れる友人っていったら、

理沙くらいだけど…



こんな状態で電話したら

優しい理沙は私のところに

すぐ飛んできてくれる。



でも、高嗣とのことは伝えてないから

ここに来られたら困るよね。




だから電話はかけれない。





でも誰か…


絶対にここなら安全って…分かってるけど…



誰かにそばにいてほしい。




不安で、怖くて…


今でも震えがおさまらないよ……






〃困ったら電話して？〃





あ……



私の頭に浮かぶあの人の顔……





私の手は自然と

あの人の名前をタップしていた。






北『もしもーし？』



「あ……北山…さん………」




本当なら、仕事以外で

キスマイメンバーに電話とかしちゃ

ダメなんだろうけど……



北山さんなら、私の今の恐怖心を

親身になって聞いてくれて

取り除いてくれそうだったから……





北『Aちゃんが電話してくるとか
珍しいじゃん(笑)』



「ごめん、なさい……っ…」



北『………どうした？』





私の震えた声に違和感があったのか

急に低くて真剣な声になった北山さん




北山さんでも、

私の異変に気づくのにね。





北『今どこにいるの？』



「高嗣の…家…っ…」



北『二階堂は？いないの？』



「いない…」



北『喧嘩でもした？』



「してない、けど…」



北『……』





こんな言葉足らずじゃ

北山さんも困っちゃうよね。




やっぱり電話…切ろう………






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