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アルバムの最後の1ページをめくり終え、ははっと小さな笑い声を響かせる。
「 懐かしいなぁ。アオハルやわ 」
掃除中に出てきた高校の卒業アルバム。気がつけば掃除を忘れて開いていた。
あの時俺は予測不可能で青すぎる恋をした。写真を見て思い出すだけでも、青春を浴びている気分。
ご飯のいい匂いが鼻をかすめる。動物のようにその匂いにつられてリビングへ行けば、いつも通り美味しそうなご飯。
「 もう大毅、遅いで。何してたん 」
「 ごめんごめん。昔のこと思い出してたわ 」
はてなを浮かべる目の前の恋人。
写真となんにも変わってない。しいていうなら、ちょっとお嫁さんっぽくなった?俺フィルターか。
「 昔のことって何? 」
「 高校時代。あん時のともかわいかったな〜♡ 」
「 なんや今はかわいくないんか 」
「 今は、かわいいけど、えろい 」
「 なっ、!お前はいつから変態親父になったんや! 」
照れ隠しでティッシュ箱が飛んでくる。
うん、いつも通り痛い。
「 もう、!そんな奴にはご飯あげたくない!! 」
「 えー、なんで、!!おなかすい、 」
「 うるさい!! 」
「 …うぅ、ごめんなさい 」
「 ………… うそ、 」
「 へ? 」
「 やきもち焼いた。昔の自分に 」
顔を上げるとそこには照れくさそうにそっぽを向く恋人。あーあ、やっぱり俺は、
「 かわいい!好き! 」
「 うっさい!!!離れて!!!もう!!! 」
俺はやっぱり、この子のことが怖い。
でもそんな怖いこの子のことが愛しくて堪らなくて、あの青い春からずっと好きでいる。それはこれから先も変わらないだろう。
ふたりの左手の薬指に光る宝石を見て、そう確信した。
〜 end 〜
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作者名:よもた | 作成日時:2024年1月31日 0時