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「 はぁ……… 、それはホンマ。こういう格好してるのも、シゲを諦めるための俺なりの決意表明みたいなもん。怖がると思ったけど、怖がらへんかったな 」
「 嫌や、諦めんといてよ 」
シゲが俺の腕を掴む。
眉の下がった弱々しい顔をしていた。
「 最低なことした自覚はある。だからその分、神ちゃんに 好き を何倍も返したいし、言いたい。守りたい。守らせてよ 」
「 ……… 」
「 … 神ちゃんは、俺のこと好き? 」
光が入って茶色くなったその瞳に吸い込まれる。
掴まれた腕から熱が渡ってきて、心臓が音を立てる。
…… ほんまに、この気持ちを忘れてええんやろか。見て見ぬふりして、思い出として宝箱にしまっておく。それで俺は、幸せになれるんか?
………… 嫌や。
俺は常に自分で正直でありたい。自分の好きな格好で、好きなことをしたい。
シゲを好きでいたい。
「 好き、… シゲが好き 」
「 俺も、神ちゃんが好き。これからずっと、俺の隣におってくれへん? 」
「 、うん 」
大好きな匂いに包まれる。息を吸う度に幸せ。
両想い。そんな奇跡に胸がいっばいになる。
「 あ、神ちゃん、その格好 」
「 やっぱ嫌?でももう、シゲの好みに合わせへんからな。これからはもう俺の好きを貫く 」
「 いや、合わせへんくてええよ!… むしろこっちの方が、ギャルっぽい感じがして俺は好き。いや、どんな神ちゃんも好きやけど、!!! 」
「 え、シゲって清楚が好きやったから俺に惚れたんとちゃうん? 」
「 なわけないやん!清楚は好きやけど… 、関係ない!神ちゃんだったから惚れたんや 」
「 でも、最初の方怖くて逃げてたやん。あれも全部こういう格好してたからやろ? 」
「 それはそう!やけど… 、神ちゃんを知った今は、逆にかわいく見えてきた 」
でれでれしたシゲの顔は、なんかいつも以上にキラキラしていた。こんなシゲを見れるなんてな。
「 …… 病気やな 」
「 おん!恋という名の病気に、俺はかかってしまってんねん!!神ちゃん治して! 」
「 ほんまに治したろか? 」
「 残念治せません!神ちゃんへの想いが強すぎて! 」
子供みたいで無邪気な笑顔。
その顔をずっと俺に見せてくれるんかな。
見せて欲しい、ずっと。
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作者名:よもた | 作成日時:2024年1月31日 0時