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校門までとぼとぼと歩く。まわりの生徒たちが俺のことを物珍しく見ているような気がして、無性に逃げ出したくなる。
今日は 脱ヤクザ計画 の記念すべき1日目。
そのため、思い切って全身のアクセサリーを全て外して登校しているのだ。
ネックレス、リング、ブレスレット、ウォレットチェーン。今考えてみれば相当な数のアクセサリーを身に着けていた。だから今日はいつもとちがった身軽さに驚いている。
「 おぉ！！ええな神ちゃん！ 」
教室に入った途端すぐさま寄ってきたのんちゃんは、俺を見て手元で小さく拍手をした。
「 恥ずいねんけど 」
「 なんで？ヤクザ感めちゃくちゃ薄れてるで？ 」
「 …… ほんま？ 」
「 うん。これやったら、シゲも好きになってくれるんやない〜？ 」
「 ほんまっ？！ 」
俺は高揚して小さく跳ねた。
重岡くん、好きになってくれるんやぁ。どないしよ、いきなり壁ドンとかされて告白されてもうたら。って、少女漫画の読みすぎやで俺！
悶えてる俺の傍ら、何かに気づいたように、のんちゃんが俺から廊下の方へと視線を移す。そして大きく誰かに手を振った。
「 シゲ〜！ 」
勢いよく振り向くと、俺らの教室の前を通る重岡くんがいた。重岡くんは軽く手を振りにこにこしている。
「 おー小瀧ー、おはよう！ 」
「 おはようシゲ！なぁなぁ、見て？ 」
のんちゃんが俺の肩に手を置く。
すると重岡くんはやっと俺の方を見て、俺の存在に気づいた。そして驚き、怯えた顔をした。
「 こ、小瀧友達なん……？ 」
「 せやで？ほら見て、変わったやろ神ちゃ 」
「 あ、あ、朝の会始まるしそろそろ教室行くわ！！ 」
デジャブ。また逃げられた。
流石にアクセサリーだけじゃダメだったんやろか。
「 …… 神ちゃん、今日は失敗やったみたい 」
同じく悲しそうな顔ののんちゃん。
少し暗い雰囲気のまま、俺たちは自分の席に着いた。
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作者名：よもた | 作成日時：2024年1月31日 0時
