#44 私達が辿り着く場所 ページ44
それから一ヶ月の歳月が流れた。
巌勝さんにやられた背中の傷は完治したが痕は残ってしまった。
単独任務はいつもの通り一人で行って帰ってくるを繰り返していた日。
炭治郎「綺麗な痣してるね」
縁側に座る私に炭治郎が隣に座りながらそう言った。
悪意などは感じないから、本当に思ったことを言ったのだろう。
『ありがとう。産まれたときからあるからね』
炭治郎「そうなんだ!俺のこの傷は火鉢を倒した弟を庇って出来た火傷なんだ。それに最終選別で負傷したから今の形になったんだ」
『ということは、炭治郎はお兄さんなんだね』
炭治郎「うん。俺は長男だからな!」
えっへん、という感じを出しながら炭治郎はそう言った。
その顔を見てたら炭治郎が言う。
炭治郎「どうしてそんな悲しい顔してるんだ?」
え?悲しい?
炭治郎「いつもどこか一点を見て、まるで自分には感情が無いみたいな空気を纏って……」
悲しい?感情が無い?
私──無意識に闘気を無くしてたの?
無我の境地に入れたの?
炭治郎「なんか俺、Aをどこかで見たことあるような気がしてるんだよね」
『どこかで見た、か。私達が辿り着く場所はいつも同じところだから、そこで会ったんじゃないかな』
つい、縁壱さんから何度も聞かされた言葉を呟いてしまった。
炭治郎「言ってる意味がよくわからないんだけど…?」
『いつか解る日が来るよ。それにしても炭治郎は偉いね。お兄さんだからみんなの面倒を見て。私も長女だから解るよ。頑張ったね』
私は炭治郎の傷を撫でる右手をそのまま頭まで伸ばして髪をくしゃくしゃと撫でる。
炭治郎「お返しだ!」
そういうと炭治郎も私の赤い痣を撫でた。
こんな赤い痣が綺麗と言ってくれる人は今までいなかったな。
私は髪を結んでいるので、頭を撫でてもいいけど炭治郎のようにくしゃくしゃにはならないからどうするのだろうと思っていたら、高く結んだ後ろ髪を炭治郎は撫でた。
炭治郎「わあ、絹みたい!」
──「Aの髪は絹みたいだな」
祖父に言われた言葉を思い出した。
七五三の祝いのときに言われた言葉。
優しく厳しい祖父が私の身なりを初めて褒めてくれた日。
痣なんて気にするなと私に木刀を向けた祖父の姿。
炭治郎「A?」
私は今、悲しい顔を取り繕っているのだろう。
炭治郎から手を離して私は部屋に戻った。
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灰色サーモン - まってwwwよくよく考えたら縁壱さんの顔で夢主がキャラ崩壊してるwww (2020年5月15日 2時) (レス) id: 99f545fffc (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - よりよりさん» とても綺麗で艶がある髪ですね。それに着物まで考えておられて素晴らしいです。夢主の容姿はそのようなイメージでいいですよ。私は読者の皆様が考える夢主の姿で物語を読んでもらえると嬉しいのです。気に入りましたありがとうございます(人*´∀`)。*゚+ (2020年3月10日 22時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
よりより - https://cdn.picrew.me/app/share/202003/15599_3aYynxVu.png Picrewの 馬酔木ヒカルさんの 和装女子メーカーをお借りしました 夢主ちゃんは こんな感じかなと勝手にイメージしてみました お気に召さなかったらすみません。 (2020年3月10日 22時) (レス) id: f27088ec53 (このIDを非表示/違反報告)
海月ひかる(プロフ) - 設定の所に、子孫と書いていますが、遠いなら末裔では?細かくてすみません (2020年3月10日 6時) (レス) id: 490f2474fb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - 緑壱さんが尊い()神作ですね。更新ふぁいとです! (2020年3月1日 15時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年2月22日 13時