#6 強くなりたい ページ6
私は地面に座っていた。
左手はどっかに飛んで、右目はもう見えない。
足はもう、鉛のように重くて動けない。
──限界だった。
鬼が私を見ている。
黒死牟「……弱いぞ」
そんなのわかってる。
そんなの一番私がわかってるさ!!
黒死牟「だが……いい、腕をしていた……」
鬼に褒められたところで私の目と腕は返ってこない。
私は刀を自分の前に置いた。
『……私の、負けだ……潔く負けを、認めよう…』
両手を太腿にのせて私は鬼を見る。
黒死牟「何故…そのようなことを言う……」
『私は柱として、自分の……うっ……責務を、全うしたまでだ……それにもう……勝負はついた……殺すがいいさ……』
私は口から血を吐いた。
人生でこんなに血を吐いたことなどない。
呼吸を使ってもたぶん助からないだろう。
鬼は私の前まできた。
黒死牟「鬼になり……さらなる強さが欲しいか……お前はどうだ……心残りはあるか……」
……クソッ。
クソクソクソ!!ふざけるな!!!!
なんで死んだ?なんで死んだんだよ。
脳裏に浮かぶは死んだ仲間の姿。
私が呼吸を上手く使えていれば。
私が男だったら。
『鬼になったら……強くなれるか……大切な人を守れるか……?』
黒死牟「……お前次第だ」
師範にも私にも継子はいない。
闇柱の継承は絶たれる。
私が鬼になっても切腹する人はいない。
…そもそも、仲間なんてみんな死んだんだ。
私は上弦を見た。
『強くなりたい……』
私は泣いた。
怖い、みんなを裏切ることになる。
だけど守りたい。強くなりたい。
だれも死なせたくない。
口を開けると、鬼が自分の血を私の口に注ぎ込んだ。
*黒死牟サイド
武士の心構えを持つ女の鬼狩り。
戦国時代の心構えを持つ女。
死に際に言い残すことはないかと聞いた。
『強くなりたい』
女はそう言った。
*
ごめんなさい師範……
ごめんなさい……仇を討てなくて……
弱くてごめんなさい……
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アリス - 19話の冨が富になっています (2020年3月14日 19時) (レス) id: 935c4787f5 (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 冨岡さんの漢字違いますよ (2020年3月3日 16時) (レス) id: 828a7545ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年2月3日 0時