【実況者】君の××をちょうだい (ページ8)

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涙と懐かしい味ページ8

突然私の目から涙が出たことに驚いたフジは、慌てた様子でハンカチを取り出して私に渡してきてくれた。

私はお礼を言ってハンカチを受け取る。

フジ「ご、ごめん……」

『ううん、大丈夫だよ……ありがとう、フジ』

フジに向かって微笑んだ。

フジ「A……」

キヨ「ほんとに大丈夫か」

『うん、大丈夫だよ……ほら、食べようよ。フジが作ってくれた料理が冷めちゃうよ』

フジ「そうだね、食べよっか」

フジとキヨが席についた。

三人「いただきます」

私はラ·クロッシュをはずした。

そこにはシチューがあった。

私にとっては、とっても大好きなシチュー。

母が昔、よく作ってくれたシチュー。

私はスプーンでシチューをすくい一口食べた。

……あぁ。

懐かしい。

懐かしい味。

何年も、何年も食べてなかった。

いつも母は仕事で家に居なく、私は毎日一人でコンビニ弁当とか冷凍食品とかだった。

懐かしい母の手料理の味。

フジ「お気に召しましたか？」

私は大きく頷いた。

『フジが作ってくれたこのシチュー、母の味と同じ……とても美味しいよ』

フジ「それは良かった」

私はシチューを食べた。

キヨとフジが喋ってる内容が面白くて、三人で笑いあった。

キヨとフジがパンの取り合いをしたり。

きゅうりを食べたくないというキヨに食べろとフジが言ったり。

とても楽しい晩御飯だった。

私はそのあとお風呂に入り、自分の部屋に行った。

髪も乾いたし、もう寝ようと思い電気を消そうとした時。

フジが扉を開けて私の部屋に来た。

『どうしたのフジ』

フジ「もう寝るのかなって思って、来ただけ。ほら、ベッドに入って。電気は消すからさ」

私は毛布とベッドの隙間に身体を挟み込んだ。

『ねぇ、フジ』

フジ「何？」

『今日初めてフジとキヨに会ったのに、こんなに親しく話せるなんて……って、思ってさ』

フジ「どうしました？」

私は首を横に振った。

『ううん。なんでもない……おやすみ、フジ』

フジ「おやすみ、A」

フジが電気を消した。

とても楽しい一日だったな。