【実況者】君の××をちょうだい (ページ16)

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心臓と人形ページ16

音を立てて扉は閉まった。

私は後ろを振り返る。

そこには目を紅くさせてこっちを見る二人がいた。

キヨ「俺らと約束したよな、A」

フジ「大人になったらあげるって言ってくれたじゃん」

そうだ。

約束したんだ。

あげるって。

『わ、私の心臓がなんで欲しいの？』

フジ「純粋だから」

『じゅん、すい……』

キヨ「混じり気のないその心臓、美味そうだから」

私はその場に座り込んで、後ろに下がる。

背中が壁につく。

二人が私の前にしゃがむ。

フジ「昔から俺達いるんだよこの部屋に」

キヨ「だから言ったじゃん「人形が壊れたときめっちゃ泣いたよな」って」

気づかなかった。

違和感に、気づけなかった。

フジ「いくつも伏線はってたんだよ？」

キヨ「なのに無視したり、気づかねぇし」

フジ「二者択一の原則をかなぐり捨て」

フジが私の頬を触る。

優しく、撫でるように。

キヨ「まやかしでもてなして、甘い蜜を吸ってさ」

キヨが私の髪に口づけする。

フジ「ちょうだい」

フジが私の首を掴む。

苦しい。

逃げられない。

キヨ「よこせ、ほら。今すぐに」

私の左胸にキヨの手がかぶさる。

そこは、心臓の位置。

二人【ちょうだい】

手が胸を貫いた。

一瞬のことでよくわからない。

いや、わかってるくせに、わからないフリをしているのか。

彼の手には私の心臓があった。

スローモーションのように。

糸が切れた人形のように、私は倒れた。

「くすくす…」

「くすくす…」

誰の笑い声？

私？