#63 温かい雪 ページ13
妓夫太郎サイド
寒がりな梅を抱き締めながら俺は梅が安心する言葉を投げていた。
そんなとき、傘をさして高そうな羽織や着物を着る男が俺たちの目の前に現れた。
マスクをつけて手袋もして、左手に持つ荷物を床に置いて俺たちの前でそいつはしゃがんだ。
『一緒に来ないか？』
怪しさMAXでそいつは言った。
俺は梅を抱き締めながら威嚇をすると、そいつは荷物の中からなんとおにぎりを出した。
真っ白なお米だ。
初めて混じりけのない米を見た。
呆気に取られていたら、米を見た梅が手を伸ばしていた。
腹は空いてるが、怪しいやつからもらったものなど食えるか。
俺は梅に駄目だと言ったが梅は潤んだ瞳で「食べちゃダメなの？」と言ってきた。
うぐっ…と思っていたらそいつは『毒とか入ってないから大丈夫だよ』と言って俺と梅に一つずつおにぎりを渡した。
梅はよほど嬉しいのか、おにぎりにがっついている。俺はおにぎりを持ちながら男を睨めつける。
妓夫「テメエは誰だあぁ？」
『通りすがりのただの医者だ』
ずいぶんと良い身分じゃねぇかよ。
そんなやつがどうしてここにいる。
『おにぎり食べていいぞ。それにこれもやる』
医者と名乗った男は俺に水筒と自分が着ていた羽織をくれた。
もらった羽織を着た梅が無邪気に「あったかい！」と言っているのを男は微笑み混じりの表情で見ている。
こいつはなんで俺たちから取り立てない？
疑問に思いながら男を見ると、男はおにぎりを食べない俺を気遣う素振りをした。
『具合が悪いなら見るぞ？どうした、大丈夫か？』
梅「お兄ちゃん、大丈夫？」
梅が俺の心配をしてくれた。
俺が無言でおにぎりを食べると男はさらに微笑んだ。
食べ終わった俺は男に言う。
妓夫「何が目的なんだ」
『君らを保護したいと思ったのだ』
妓夫「保護ぉ？」
『屋根付きだし一日三食出るし、寝床もある。どうだ？来ないか？』
梅「お兄ちゃん…？」
おにぎりを食べ終えた梅が期待の眼差しで俺を見てくる。
『わかった。お風呂入って安心して寝れる場所ならいいか？それだけだ。今日一日だけでいい。放っておけなくてな』
妓夫「……お前、損するぞ」
『損得勘定で物事みてたら視野が狭くなるぞ』
妓夫「なんだそれ…馬鹿なやつだな」
「今日だけだ」と約束して俺は梅の手をしっかりと握って男の家に向かった。
男がかした羽織と傘は、温かい雪を振り払うのに役に立った。
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7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - 更新してください (2月11日 13時) (
レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
鶴来 - 初めまして、主人公の性格がどタイプで甘露寺ちゃんみたいにキュンキュンしました！すみませんしばらく更新されていませんのにとても好きになり感想を書かせていただきました！体調に気おつけてお過ごしください (2023年4月27日 1時) (レス) @page31 id: 5619572143 (このIDを非表示/違反報告)
nayu - 面白いです！そして好き！これからの物語も楽しみに待っています！体調に気を付けてお過ごしください！ (2021年10月19日 21時) (レス) @page31 id: 4992787aaf (このIDを非表示/違反報告)
叶翔 - 好きです！面白いです！続き待ってます！ (2021年9月11日 17時) (レス) id: 07ae9650d0 (このIDを非表示/違反報告)
推し100% - 続き全裸待機で待ってます！ (2021年6月12日 13時) (レス) id: 4b24d326f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し61903号 | 作成日時：2020年6月6日 13時
