#51 ちぐはぐな記憶 ページ1
無惨サイド
雪彦が雅という名前で死んでから数十年が経ったとき、黒死牟が私の前に来た。
報告か、と思いながら話を促す。
黒死牟「無惨様。縁壱が往(い)にました(死にました)」
黒死牟はそう言った。
自分の弟の死を告げてきた。
鬼狩りの最強が死んだ。
これでもう恐れるものはない。
無惨「お前が殺したのか?」
黒死牟「いいえ。寿命により目の前で…」
黒死牟はそう言うとスッと目を伏した。
記憶を覗くと何やら考えてい。
弟との思い出か?
──「何の心配もいらぬ。私たちはいつでも安心して人生の幕を引けば良い」
──『だから強くなり記録に残すのだ。いいか巌勝。お前は強い男になる。私を越していけ!私を踏み台にするのだ!さすれば明日の日の出はお前のものだ!いくぞッ!!』
黒死牟の記憶には縁壱と雅という雪彦がいた。
何の記憶だ?いつの記憶だ?
黒死牟「失礼ながら申し上げますと……雪彦殿の遺体は見つかりませんでした」
無惨「だろうな」
黒死牟「……」
無惨「もういい下がれ」
黒死牟を下がらせた。
……それからだ。
姉と弟を亡くした黒死牟の喋り方は、それから遅くなった。
青い彼岸花を捜索する邪魔にならないから特に気に留めることはしない。
まるで深層心理まで考えるような思考になったかと思えば、弟に対しての嫉妬心地味たものを剣技に活かすようになった。
姉の雅こと雪彦に対してもよく考えるようになった。
雪彦は私の血を飲んでも鬼にならないのか?
あれは死んだあとに飲ませたから、今度は死ぬ前に飲ませたら鬼になるかもしれない。
次はどこで生まれ変わって私の前に現れるのだ。
私は人間のときの会話を思い出す。
「……すまなかった」
『何故謝る?辛いのはお前だろ?私が聞きたいのはそんな言葉ではない。お前の元気な言葉だ。お前は和歌を詠むのが下手な私と友人になってくれただろう?』
「…そういうお前こそ、たんきょりそうもできない私と友人になってくれたな」
『そうだったな!』
毬を蹴れない私。
和歌を読めない雪彦。
ちぐはぐでどこか噛み合っていたあのとき。
早く雪彦を探そう。
*
#19『だから〜』
#6「……すまなかった」
前作から抜粋。
黒死牟さんの口調は縁壱さんが亡くなってから遅くなったと思うとなんだか切ないですね。そんな考えをしている作者です。
更新は暫くお待ちください。
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7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - 更新してください (2月11日 13時) (レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
鶴来 - 初めまして、主人公の性格がどタイプで甘露寺ちゃんみたいにキュンキュンしました!すみませんしばらく更新されていませんのにとても好きになり感想を書かせていただきました!体調に気おつけてお過ごしください (2023年4月27日 1時) (レス) @page31 id: 5619572143 (このIDを非表示/違反報告)
nayu - 面白いです!そして好き!これからの物語も楽しみに待っています!体調に気を付けてお過ごしください! (2021年10月19日 21時) (レス) @page31 id: 4992787aaf (このIDを非表示/違反報告)
叶翔 - 好きです!面白いです!続き待ってます! (2021年9月11日 17時) (レス) id: 07ae9650d0 (このIDを非表示/違反報告)
推し100% - 続き全裸待機で待ってます! (2021年6月12日 13時) (レス) id: 4b24d326f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年6月6日 13時