鬼舞辻無惨の親友は生き返る【鬼滅の刃】

#45　思い出せない ページ45

そんな貴方に【運】をプレゼント！

という声がまた聞こえた。

もういい加減にしてくれ。

私を元いた世界に返してくれ。

いつまで続ける気だ。

いつまで私を転生させる気だ。

転生して私になんの意味があるのだ。

私はあと何回転生したら戻れる？

私はあと何回殺されたら死ねる？

私はあと──


『……クソくらえ』


幼子の私の初めての言葉がまさかの『クソくらえ』ということを聞いた今世の両親が慌てふためいている。

前世では雅、前前世では雪彦、元いた世界ではAと言う物理的に日本一位だった私は今、体を仰向けにして天井を眺めている。

前世は弟の巌勝の前で死ぬというはしたないことをしてしまった。

縁壱を遺して遺書も書かずに死んでしまった。

二人には悪いことをしてしまったな。

戌亥には幸せになってほしいと言われたのに、全然幸せじゃなかったな。

巌勝の鬼化、鬼狩り追放、私の死。

せめて誰かが私の骨と戌亥の骨壺をどこに埋めたか教えてくれ。

両親が私を抱きかかえた。

どこかに行くみたいだ。

母親の腕の中で私は揺られ続けながら考える。

【バフ】だとか【運】だとかなんだよ。

あれ、咄嗟の行動取るとき意味無いじゃんか。

くっそぉ〜……今世では何をしたらいいんだ。

というか、何故私ばかり転生させるんだ。

もしかして神様とかいうやつは、私に何か思い出してほしいのか？

思い出すっていっても、元いた世界で悪行を働いたわけでもないし……まぁ、親友と彼氏のアレは驚きのあまり缶ビール投げつけたり鮭トバフルスイングしてしまったが。

彼氏は顔カッコいいからあんなんになったのかな。

……あれ？

ん？んんんん？？？

……彼氏の顔って……どんなんだっけ。

あれ。なんだ。あれ？

背は私より高くて……いつも私を気にかけて……

戌亥か？いや違う。

彼氏…もそうだけど、親友の顔も思い出せない。


「桜、ついたわよ」


私はAという名前なのに、今世の母親は桜という名前を私に付けた。

今世でも私は女の性を受けた。

男のほうがいいなぁ。性別だけ男にできる変換機能を神様くださいな。

【運】いらないからさ。

顔を上げると変な場所。


「ようこそ、極楽教へ」


新手の詐欺か宗教か？？？


*

☆第四の人生、始まります──！

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