#40 恥を知れ ページ40
縁壱サイド
鬼舞辻無惨と闘い、逃げられ、兄上が鬼になったという知らせを聞いたとき。
頭が真っ白になった。
自分の手が震えたのは初めてだ。
姉上の顔が青を通り越して白になっていくのも初めて見た。
他の隊士からは責立てられた。
「何故逃した」
「何故トドメをさせなかった」
「どう責任を取るつもりだ」
私は何も言えずにいる。
私の隣に座る姉上。
姉上は何も言わずにずっと我慢している。
私の責任なのに、姉上も責立てられている。
「切腹しろ」
隊士の一人がそう言った。
それを聞いた途端、ずっと我慢していた姉上が大声を上げた。
『恥を知れ！！！』
姉上の大声にその場にいた隊士全員が肩をはねらせる。
『鬼狩りがここまで成長できたのは縁壱が一人一人に適した呼吸を教えたからだ！呼吸の型だって縁壱から派生したもの！それを貶すとはどういう神経してんだ！』
お館様が目の前にいるにもかかわらず、姉上は言いたいことを呼吸を使って一気に言い繋げる。
『痣者だって誇り高い死を迎えたのにお前らは死人すら罵倒するのか！縁壱に幾度助けられたか数えてすらないだろ！縁壱が来てから鬼共は半減した！鬼狩りの半分以上が縁壱の功績だ！』
『それなのに切腹しろだと？笑止千万！縁壱が口数少ないからといって責め立てるのは卑怯者のすることだ！縁壱はたった一人で鬼の始祖と対峙したのだぞ！お前らは縁壱をなんだと思ってるんだ！！』
姉上はそうまくし立て、はあはあと肩で荒く息をしながらまだ続ける。
その間に隊士たちの言葉が入る隙間はない。
まだ幼いお館様はなんと言おうか口を出せずにいる。
『弟のやらかしは姉の責任だ！私が腹を切ればお前らはそれで満足か？だが覚えてろ。私が腹を切ったら鬼狩りの力は今まで以上に弱くなるぞ！』
『全盛期などもう終わる！痣がなんだ！！責任がなんだ！！死んでいった柱たちは痣は寿命の前借りにすぎないと承知の上だった！生半可な覚悟で柱になるやつなんていねぇに決まってんだろ！！私だってなぁ、私だって…！！』
姉上の声が涙声となった。
私が隣を見ると、姉上は両手の拳を血が流れるほどきつく握り締めながら──
『戌亥に死んでほしくなかったさ！！』
──大粒の涙を流していた。
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです！続きめっちゃ楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年6月5日 22時) (
レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお！こんなにもいい作品があったとは！ありがとうございまs(((続きも頑張ってください！ (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです！！続き楽しみにしてます！！更新頑張ってください！！ (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い！気が狂いそうになるのも分かります！(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し61903号 | 作成日時：2020年5月16日 6時
