#33 仲睦まじい姿 ページ33
煉獄サイド
縁壱殿のほっぺを左右から掴んだ雅殿はムニ、と持ち上げてみせた。
縁壱「みひゃび……あねうえ」
『ふむ。これでも表情筋は動かんか』
我々は一体何を見せられているんだろう。
姉と弟の仲良しな場面を朝から見せられていることは重々承知だが、縁壱殿がここに来てもう数ヶ月は経つというのに……
雅殿は縁壱殿に甘いらしく『裾が汚れるぞ』『食事をとれ』『隣に寝ろ』などの発言をしている。
姉弟の仲……近くないか?
私は遠くから二人を見ているが、仲睦まじい二人の距離は鼻先ほどの近さだ。
雅殿が縁壱殿のほっぺを離した。
『私は西に行く。朝には戻るから食事の用意はしなくていい』
縁壱「解りました。私は北の任務なので終わり次第むかえに行きます」
『来てはならぬ』
雅殿は二十四歳、縁壱殿は十七歳。
姉を心配する気持ちは解るが、縁壱殿も雅殿と変わらぬ心配性だ。
縁壱殿が雅殿に何か言ってるのが遠くにいても解る。
黙らせるように雅殿が縁壱殿の唇に自身の人差し指を添えた。
『縁壱。お前はいつの間に我慢ができない子になったのだ?』
私の隣にいつのまにか風柱がいた。
縁壱殿が来てから我々は一人ひとりに適した呼吸法や剣技を教わった。今や鬼狩りは柱などといった階級制度を作っている。
私は炎の呼吸を使う炎柱だが、隣にいるのは風の呼吸を使う風柱。
風柱「あれは無意識なのでしょうか?」
煉獄「意図してあれはできぬな!」
風柱「止めたほうがいいのでは?」
煉獄「縁壱殿には勝てぬ。だから止めておいたほうがいいぞ」
自身の刀に手を添えた風柱をなだめて二人を見ると、縁壱殿が雅殿に頭を下げていた。
縁壱「お気をつけて」
『あぁ。行って参る』
乱雑に切り揃えて肩まで伸びた髪の毛を靡かせながら、雅殿は鬼を斬る任務に向かってしまった。
今日の任務は遠出なので、雅殿は明日の朝までに帰れるのだろうか。
モヤモヤしながら再び雅殿を見ると、雅殿はもういなかった。
銀杏や紅葉が地面に落ちているだけで、そこにはまるで誰もいなかったような悪戯な風が吹いた。
太陽だけが私を見ていた。
*
戦国時代の柱は捏造して書いてます。
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時