#25 今が大事なとき ページ25
嫁に行くと言ったら私の配下が泣き出した。
ギョッとしながら涙の訳を聞いたら「喜ばしい限りです」と言ってさらに泣き出してしまった。
配下「失礼ながら、何故今の時期なのでしょうか？」
『何故、か……なんでだろうな。巌勝もそろそろ元服する年だ。だから……今が潮時だと思ったからかな。それに』
私は涙を拭った配下に言う。
『一度きりの人生だ。嫁に行ってみたかったんだ』
まぁ、私には三度目の人生なのだが。という言葉は飲み込んだ。
配下は「では今から祝言を！」と言いながら部屋から出ようとしたので引き止める。
まあ待て落ち着け。そう早まるでないと配下をなだめてから私は続ける。
『私の大仰に振り回してしまって悪かったな』
配下「そんな、滅相もない。私たちは貴方様に身も心も捧げると誓ったのです」
『う、うん？重いな…』
配下「そんな雅様が…縁談を……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」
『な、泣くな！涙は大事なときにとっておけ！』
配下「今が大事なときです…」
配下がまた泣き出したので落ち着くのを待つ間、私は考える。
大学生三年目のとき、私はビールを飲んで倒れて気づいたら過去にいた。私の二十一という年齢はあのとき彼氏といた年になる。
タイムスリップしなければこんな目に合わなかった気もするが、しなければこんなに慕われることもなかった。
ましてや私を一途に想ってくれる結婚などなかったであろう。
配下「では、祝言はいつ挙げましょうか」
『だから早いといってるだろう！？』
開けづらくなった右目を少し擦ってから私は笑った。
『巌勝が主導権を握って安定し、お前たちが楽に過ごせた時に式を挙げようと考えている』
配下「や、やはり巌勝様と私たちのことを考えて……ﾌﾞﾜｯ」
『ああああよせ！泣くな！！』
涙をぶり返した配下を私は再度なだめた。
『寂しくなってしまうな』と呟いたら配下は涙でぐしゃぐしゃの顔で笑ってみせた。
*
ちなみにすぐ泣く配下は男性です。
優しいAさんに職と寝床を提供してもらい自分から配下にして欲しいと願い出たそうです。
口調が女性っぽいのは、Aさんの優しい言葉を真似てるみたいです。
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです！続きめっちゃ楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年6月5日 22時) (
レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお！こんなにもいい作品があったとは！ありがとうございまs(((続きも頑張ってください！ (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです！！続き楽しみにしてます！！更新頑張ってください！！ (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い！気が狂いそうになるのも分かります！(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し61903号 | 作成日時：2020年5月16日 6時
