#23 勝負の行方 ページ23
巌勝サイド
姉が『父上に決闘を申し込んだ』と言った時は耳を疑った。
その日はだんだんと近づき、やがて今日となった。
結論から言うと、勝負は姉の勝ちだった。
何時間にも渡る父上と姉の闘いは、姉が父上の真剣を折ったことで決着がついた。
姉は素手で父上の剣を折ったのだ。
遠巻きで見ていた父の配下たちは驚きのあまり「反則だ」「卑怯だ」と言ったが、審議は姉の勝ちとなった。
姉は腕や足に怪我を負ったが、一番重症なのは顔だった。
姉の整っている綺麗な顔。
その右額から右目、右頬にかけて垂直の縦線が入ってしまった。
姉は対して気にも止めない様子でケロッとしていたが、右目は開くのが少し辛そうにしている。
右目と体の傷を代償にして、父上に勝ってこの継国の領土を手に入れて、そこまでして姉は何がしたいのだろう。
次の日、姉はあろうことか継国に仕える配下たちを一斉に解雇したのだ。
元配下たちには次に仕える人の場所に移転させ、新しい配下を姉は手に入れた。
そして住みやすいように家を建て、畑を耕せやすいように川から水を引くなどの工夫をした。
新しい配下たちはどうやら姉のことを慕っているらしく、私にも優しく手合わせなどをしてくれた。
父上の時はピリピリしていたこの家は、主導権を握った姉によって笑顔が咲く家へと変貌した。
未婚の女性が主導権を握るなど、と一部では姉の陰口を言っている輩がいたが、姉の対策によって作物が豊作になるにつれ、陰口を言う者はいなくなった。
今では継国の領土にいる皆は姉に感謝をするほどとなった。
町を歩くたびに「新鮮な食事ができる」「苦しい年貢に耐えなくてすむ」「子供が丈夫に育つ」などの嬉しい言葉が姉に向けられる。
姉は十七歳にして皆から尊敬の眼差しを手に入れたのだ。
だけどそんな日は長く続かなかった。
姉が二十一のとき、唐突に終わりを迎えた。
*
作者「Aさん、皆から尊敬された秘訣はなんですか?」
『高校のとき、日本史の先生が「昔の人がこういうふうに川の水をひいてたらより効果的に土地を耕すことができた筈だ」と言ってたのを思い出してな。だから実際にやったら本当に実現しただけだ。ちなみに野菜を育てるためには人間の糞ではなくミミズや土が大事だと言ってたから枯れ葉などを混ぜたらなぜか立派な野菜に育った。実践あるのみだな!』
作者「解答ありがとうございます」
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時