#20 透ける血の流れ ページ20
巌勝は父の輩下に剣技を指南されている。
私はその輩下から一本取っているから、今日は巌勝の指導が中心となるので私は側で見ていることに。
だけど縁壱が教わりたいらしく、私に話しかけてきた。
父の輩下は袋竹刀を縁壱に持たせた。
父の輩下は持ち方と構え方を簡単に教え、私は踏み込むときの足を教えた。
二人が対面する形で構えた時、縁壱が息を大きく吸うなり一瞬にして父の輩下に四発叩き込んだ。
これには流石の私も驚きを隠せなかった。
巌勝と一緒にただ呆然としていた。
そのあと我に返った私は倒れた父の輩下を介抱したら首、胸、腹、足の四箇所は拳大に膨れ上がっていた。
巌勝は縁壱に勝てた強さの秘密を知りたいのか、縁壱に話しかけていた。
驚いたが理由は別に知りたくなかったが、巌勝に話を振られ、渋々ながら縁壱に尋ねたらこう言った。
縁壱「打ち込んでくる前に肺が大きく動く。骨の向きや筋肉の収縮、血の流れを良く見ればいい」
ん?と思って私はすぐにその言葉の意味を理解した。
【これは大学生の私だ】ということに。
私が何故、剣道柔道空手で日本一位を取れたかというと、私には産まれ付き他人の体が透けて見えていたのだ。
そのせいで幼少期は大変苦労した。父親のガンを指差して病院に言ったら本当にガンを見つけ、父親からはちやほやされ、母親は私を医者にするとか言ってもう大変だった。
解らなかった。解らなかった。
月彦と出会ったときは着物の多さで見えないんだと思ってた。あれは違うんだ。
令和時代から戦国時代、つまり【過去にいるから見えない】のだ。
巌勝は意味が解らなそうだったので簡単に教えるとますます意味が解らないという顔をした。
『……縁壱』
私は頭を抱えながら尋ねる。
『もしかして肺が幾つ、脳が幾つも見えるか?』
縁壱「はい。姉上の肺は二つ、脳は一つです」
『オーケーオーケー、間違いないなこれは』
私と同じ視覚の持ち主がいたとは初めてだ。
ならばどうしてこの戦国時代にいる私の視覚は人の体を透けて見えないのだ?
なぜだ?おかしい。不思議でたまらない。
もしかして……ひょっとすると、私が先に産まれたから縁壱に私の【視覚】を渡してしまったのか?
私の【視覚】を縁壱が…?
縁壱はその特別な【視覚】に対応できる身体能力を持ちながら、侍になりたいとは言わなくなった。
私はなぜか悲しかった。
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時