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#17 姉上の苦悩 ページ17

縁壱サイド

私には姉上と兄上がいる。

七つ年上の姉上と双子の兄上。

私が夜中、三畳の部屋で寝ていたときガラリと扉が開くなり姉上がやってきた。


『失礼するぞ縁壱』


姉上は部屋に入って私の布団の隣に寝転んだ。

布団を被せようとしたら姉上は『心配いらん』と言った。


『縁壱。姉はな、嫁に行きたくないのだ』


姉上は突然そう言った。


『そもそもこの国の五百年後の未来では親の許可なく婚姻届が出せる。私は子供を産みたくない。産ませるより、親がいない子供を育てるべきなのではないか?』

『今この世界のどこかにいる孤独な子供を養子として引き取って、尊い命の芽を摘むのを阻止するべきではないのか?私はそう考えているんだ』


姉上は壁を見ながらそう言った。


『子孫繁栄の思考は理解できるが、私は父上の思考はよく解らん。頭が堅いのだ』


父上の悪口をサラリと発した姉上は私の頭を撫でた。


『がわ"い"い"うぢの"弟!!ぐぅかわっ…』


姉上は胸元を抑えて悶ている。


『…縁壱』


冷静を取り戻した姉上は私を見る。


『話を戻そう。こんな姉ですまないな。十三にもなって嫁ぎ先の男に詰め寄られたのだ。結婚してくれと。だから決闘を申し込んだんだ』


え?姉上、今なんと?


『決闘は勝ったのだが、強い女にもっと惚れたと抜かしたヤツは諦めが悪いのか未だに文を送ってくるのだ』


姉上はそのまま続ける。


『だから私は『父上がご隠居なされたら結婚してやってもいいぞ』と言ったんだ』


あ、姉上???


『そしたらヤツは「待ちます」と言った。『その前にお前に嫁ぎたいという女が来るぞ』と言ったら「私の眼中には貴方様しかいないのです」だと抜かしおった』


姉上は声を抑えて笑った。

私は何か発言しようかと思ったが姉上の言葉を待つことにした。


『女にも男にもなれない私を好いてくれる相手など初めてだ』


姉上は目を細めて微笑みを浮かべた。

私は姉上が幸せなら私も幸せですよ。


『あの頑固親父が隠居などしないからまずは父上に決闘を申し込み、そのあとこの家を変えようと思う。それに継国の領地の見直し、警備のやり方など全て変えてみせる』


姉上の顔は真剣だった。

私は己を貫き通す姉上のたくましい姿を見て、この人の弟であったことを心から喜ぶことにした。


*

☆無惨の命の灯火が揺らめく──!

#18 耳飾りと竹の笛と櫛→←#16 姉上様



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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時

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