#14 第一の死因 ページ14
「お前をどうして呼んだかわかるか?」
『枕投げがしたかったんだろ?』
「違う」
無惨はため息をこぼした。
「…病が治ったから一番にお前に連絡したかったのだ」
なんだそれ。
もしかして男の性を持つ私相手に恋してんのか?
すまない無惨。私は抱きつくはオッケーだがキスは無理だ。
『なるほど。走りたいのだな?』
「ちが……いや、実はそうなのだ。風を感じたいと思ってな」
『おおそうか!』
「って違う!!」
腕を組み苛立つ無惨の背後の少し開いた襖の奥を私は見た。
そこには床に伏す人の姿。畳には血が広がり、体の所々を欠損している……というか、食べられたような箇所がある。
『……無惨…その…後ろはなんだ?』
「ようやく気づいたのか?」
無惨はニヤッと笑うなり襖を開いた。そこからはむせ返るような血の匂いが漂ってきた。
「私は鬼となり、食事は人間を必要となった。ここまで言えばわかるだろう?」
『お前…人を殺したのか?そして食べたのか?生か?腹を壊すぞ?肉はちゃんと加熱してから食べたほうがいいぞ』
「なっ…!」
無惨が絶句している。私変なこと言ったか?
「調理方法はどうでもいい!」
『いやよくない!いくら治ったからと言って生で食べると食あたりを起こすぞ!』
「お前はいったい何なのだ!何故怯えない!何故逃げない!」
『私は逃げ出すことなど一度もしたことがないぞ。いつも立ち向かってきた。そして返り討ちにしてきたからな』
無惨がくっくと笑う。
「お前は変わらないのだな」
そう言った無惨の顔が目の前にあった。一瞬で距離を詰められたことに私は驚いた。
すぐさま体を動かしたが間に合わなかった。
『ガッ…!?』
無惨の右腕が私の胸を貫通している。
なんだこれは。
「その心臓、食べるとしよう」
『バッ……馬鹿言ってんじゃねぇ!!』
無惨の顔を初めて殴った。
ギュウッと心臓を掴まれた。
『むざッ…』
いくら体を鍛えても、心臓を一突きに鷲掴みにされたら人間たまったもんじゃない。
私は口から血を吐き出し、初めて血にまみれた自分の心臓を目にして息を引き取った。
「…殺したくなかった」
そう呟いた無惨の言葉を最後に私は事切れた。
私の第一の死因は【心臓鷲掴み】だった。
そんな貴方に【バフ】をプレゼント!
という言葉が聞こえた気がした。
は?
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時