#13 夜中 ページ13
無惨と喧嘩してしまった。
ごろりと寝転んだ布団の上で私は一昨日の喧嘩を考える。
私は今まで喧嘩は拳で解決していた。
だけど病人に拳は向けられないので我慢していたが、硯を投げてくるとは思わんかった。
右腕の痛みはもうひいている。
無惨からの文は無い……ということは結局私から行かないと駄目か。
うーん、と悩んでいたら女中が襖を開けて文を届けてきた。
「…雪彦様。月彦様からの文でございます」
『サン…ありがとう』
サンキューって言っても平安時代の人には伝わらない癖が中々抜けん。
文を開けるとそこには「すまなかった」とだけ書いてある。
無惨らしいな、と思いつつ手紙を裏返すと「夜中に来てくれないか」と書いてあった。
夜?はて、夜に何をするんだ?よくわからないが無惨からの頼みだ。夜中に行くとしよう。
筋トレしてたらいつのまにか時刻は夜になってしまった。まだ書き途中の巻物をしまい、私は寝たフリで家族をごまかし、布団には枕を沢山入れた。
夜中出歩くことは禁じられているこの時代に無惨の家を訪ねるのはとても危険な行動だ。だけど私は訪ねるとしよう。
竹を棒高跳びのようにして私は無惨の家の塀を飛び越えた。
こんなのお茶の子さいさいだ!!
音がしたから駆けつけられるのですぐさま床下に滑り込む。護衛たちがいなくなったのを確認してから床下から出て無惨の部屋の襖を開けた。
そこには無惨がいた。布団の中ではなく普段の着物を着て座っている。
紅梅色の瞳をした無惨が私に近づいてくる。私は伸ばしてきた無惨の手を避けて部屋に入る。
『夜中に呼び出していきなり何のようだ』
「雪彦、お前は私が怖くないのか?」
『怖い?何故恐怖の対象にしなくてはいけないのだ?』
「私は鬼となったのだ」
鬼?鬼って桃太郎に出てくる鬼か?
「怖いだろう?」
『全然』
「何故だ?!私は鬼となったのだぞ!」
『確かによく見れば血色良くなったな。それに二本の足で立てるようだし、咳もしてない。もしかして治ったのか?』
「え……あぁそうだ!治ったとも!」←
胸を張る無惨に私は微笑む。
『赤飯でも炊こうではないか!』←
「違うそうじゃない!よく見ろ!」
無惨は犬歯を見せてきた。確かに鋭いな。
『ほう。乳歯は抜けたようだな』←
「……お前はどこまでもお前だな」
無惨が若干呆れ顔で言ってきた。
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スイレン(プロフ) - この作品大好きです!続きめっちゃ楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 712cc87224 (このIDを非表示/違反報告)
弍神 - うおおおおおおお!こんなにもいい作品があったとは!ありがとうございまs(((続きも頑張ってください! (2020年6月4日 23時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
きょうちゃん - めちゃめちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 69a8ce92b1 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - これすごい面白い!気が狂いそうになるのも分かります!(笑) (2020年6月4日 16時) (レス) id: ae6073fefe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 毎度のように続きが気になって狂いそうです。笑笑 (2020年5月23日 13時) (レス) id: 9dc1f8537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年5月16日 6時