「を」から始まる愛言葉 ページ45
今日は、を。明日はん。
でも、をから始まる言葉も、んから始まる言葉もさすがの私でも思いつくはずがなかった。
今日は、愛言葉は言えません。
貴方「赤葦くん、赤葦くん！今日は「を」だよ！」
赤葦「ねぇ、A。「を」なんて思い浮かばないよね？」
貴方「うん。さすがの私も「を」は思い浮かばなかったよ。」
赤葦「「ん」も思いかばないよね？」
貴方「うん。」
愛言葉がなくなったら、私たちは一緒に帰る理由がなくなる。
まだ五十音終わってはいないけど、言えないのだから終わったも同然だ。
目から温かいものが流れ落ちた。
赤葦「ちょっと、俺の家まで来てくれる？」
貴方「え？」
赤葦「今日父さんも母さんも遅くなるから話し合いにはうってつけだよ。」
そう言って赤葦くんは私の腕を引いて走り始めた。
さすがは運動部。足が速い。戸惑っている間に、赤葦家に着いてしまった。
赤葦「いきなり走り出してごめん。俺の部屋、階段上がって右の突き当たりだから入ってて。」
赤葦くんの言うことを無視するわけにもいかず、私はおとなしく指示に従い部屋へ向かった。
赤葦くんの部屋はいつも通り綺麗に整頓されていた。
なんだか緊張して座ることもできず部屋をうろうろしていたら赤葦くんがお茶を持ってきてくれた。
くそ、こんな時もジェントルマンかよ。とか変なことを思いつつ。お礼を言った。
赤葦「話する前にAを泣きやませないとね。」
貴方「大丈夫。」
赤葦「大丈夫なことないでしょ。」
ベッドに座った赤葦くんを見下ろす形で立っている私。
離れたいけど、つながれた手を振り払える勇気は出てこなかった。
赤葦「…抱きしめてもいいですか？」
貴方「え？」
聞いてきたのは赤葦くんなのに、私の返事を聞くことはせず赤葦くんは私を引き寄せ抱きしめた。
貴方「赤葦くん、この体制はきついよ。」
赤葦「あ、ごめん。じゃあ床座ろうか。」
床に座り、また抱きしめなおした赤葦くん。
私の心臓の音が聞こえそうで、少し焦りを感じた。
赤葦「ねぇA、なんで愛言葉なんて始めたの？教えて。」
耳元で聞こえる赤葦君の低い声。全身に伝わる赤葦君の体温。
安心感を感じるのには、それで充分だった。
貴方「最初は、確かめたかったの。本当に赤葦君が私を好きなのか。本当に私でいいのか。」
赤葦「確かめられた？」
貴方「わかんない。でも、私赤葦くんの隣にいられる自信どんどんなくなっていったの。」
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桜朱(プロフ) - dekoponmikanさん» わざわざコメントありがとうございます！！！本当に嬉しいです。あまり自信のない作品だったのですが皆さん最後の場面を気に入ってくださって...。本当にありがたいです！！！ (2022年8月22日 14時) (
レス) id: cc904183b9 (このIDを非表示/違反報告)
dekoponmikan - 私も今日これを見つけて読みました！普段はコメントはあまりしない方なのですが、最後まで読み終わったとき「これはコメントするしかない！」って思いました。最後の場面で感動しました！本当におもしろかったです！ (2022年8月22日 12時) (レス) @page48 id: 75df80a16a (このIDを非表示/違反報告)
桜朱(プロフ) - りかさん» 今も尚読んでくださりさらにおもしろいと言っていただけて本当に光栄です！ありがとうございます！！ (2022年8月22日 11時) (レス) id: cc904183b9 (このIDを非表示/違反報告)
りか - 今更になってこの作品を見つけて読みました。とても面白くて2人はどうなってしまうのかハラハラしながら読んでいましたw最後の終わり方がとても感動しました‼︎こんな面白い作品を書いてくれてありがとうございます！ (2022年8月22日 11時) (レス) @page48 id: 23fc03e90b (このIDを非表示/違反報告)
桜朱(プロフ) - ひにゃあさん» ありがとうございます！そんな！泣いていただけただなんて！最後の終わり方おかしかったし、自信なかったんですが、満足していただけたのならとても嬉しいです！ (2019年8月11日 23時) (レス) id: 4433acca5b (このIDを非表示/違反報告)
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