。 ページ2
.
球場に着き、関係者入口からロッカールームまで歩いていく。
ロッカールームに着き、カバンからさっき買った花と
ユニフォームを取り出し着替えようとした瞬間
ガチャリ、とドアが開いた。
「おお、早いな勇人」
振り返ると、そこにはユニフォームを着た内海さんが立っていた。
その顔はどことなく、寂しそうな顔をしているように見えた。
「っス。ちょっと目覚めたんで。内海さんこそ、めっちゃ早いっスね、」
着替える俺の隣に内海さんが座る。
やっぱりいつものパッパラパーな内海さんと違って
おとなしく感じる。
「……なんかあったんスか？」
「俺さ……」
そういって話し始める内海さんの目には涙がたまってて
零れ落ちないよう必死にこらえているのがわかった。
「西武に行くことになった、」
頭が真っ白になって内海さんの言ってる意味が理解できひん。
一番辛いんは内海さんやのに、信じたくない自分がおる。
「決定、なんすか？」
決定やからこうやって俺に話してるわけであって、
そんなことは俺もわかってたけど。
今まで一緒に戦ってきて、試合以外でも散々お世話になって、
こんな生意気な俺やのに一番仲良くしてくれて。
アホやけど人としてはめっちゃ尊敬してる人で、
そんな内海さんがおらんくなるなんて考えてもなかった。
「うすうす気づいとってんけどな、今日LINEあってさっき話に行っててん。…勇人？なに泣いてんねん！！！笑」
気が付いたら、こんなおっさん二人して号泣しとった。
西武に行ったからって、この関係が変わってまうわけじゃないけど。
やっぱりチームじゃなくなるっていうのは
ものすごい辛かった。
「……勇人が泣くん、長野と一緒に最多安打取った時以来やな、笑」
散々泣いた後、二人で一時間くらい語り合ってた。
どんだけ話しても、話が尽きんかった。
それぐらい、内海さんとはいっぱいの思い出があった。
「西武でも、しっかり活躍してくださいよ笑、俺も頑張るんで。」
「任せろ！勇人も頼むで！」
二人固い握手を交わした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2021年4月28日 9時
