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朝から鳴り響く着信音。
起きたばっかりの俺はベッドから起き上がり
スマホの画面を覗く。
" エミ "
名前を見ても、顔がすぐ思い浮かばんのは
いつものこと。
今まで遊んできた女なんて数え切れんくらいおる。
その中の誰かってことだけしかわからん。
｢…めんどくさ｣
鳴り止まんスマホに痺れを切らした俺は
エミという名前の女からの電話に出た。
｢あー♡やっと出てくれたあ〜、｣
甘ったるい声が電話の先から聞こえてくる。
そんな声を聞いても顔なんか思い浮かぶはずもない。
｢…なんの用？｣
冷たい声で言い放つ俺の問いかけに怯む様子もなく、話してくる女。
｢今日、会おうよ〜♡試合終わり待ってるね、｣
一方的に約束をこじつけられ、電話が切られた。
どこの誰かも分からんやつと試合終わりに会うのは、今日に限ったことじゃない。
エミ とかいう女のせいですっかり目覚めてもうた俺は
私服に着替えて、帽子とマスクを着けて家を出た。
もうすぐ5月、ポカポカ気持ちいい天気の中
車でいつもの場所に向かう。
｢いつものくれる？｣
家を出て向かった先は近所の花屋。
こんなガタイの良いおっさんが花なんか買ってるの不思議やろうな、
なんて思いながら店員さんが用意してくれたいつもの花を受け取ってカバンに詰め込んだ。
車に戻り、腕時計に目を移すとまだ
12時にもなっていない。
｢……早めに行くかあ、｣
特に何もすることが思い浮かばんかった俺は、
球場へ向かうことにした。
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年4月28日 9時
